内容説明
如何にして新精神主義を粉砕するか。原理主義はもとより、様々な意匠の下に「宗教的なるもの」が旺盛に回帰する惨澹たる状況を、マルクス主義はどう迎え撃つべきか―。高度資本主義・グローバル化社会の思想的課題の根底からの検証を目指し、ヘーゲル、ラカンを参照しつつキリスト教の遺産をも継承する、ジジェク的戦略の新しい展開。
目次
バルカンの亡霊を放棄する
資本の幽霊
“対象a”としてのコーク
悲劇から嘲笑喜劇へ
犠牲者たち、どこもかしこも
空想的“現実界”
なぜ真理は怪物的なのか
石とトカゲと人間について
構造とその出来事
十戒から人権へ
寛容の原理
キリストによる束縛の解除
「おまえはやらねばならない、できるのだから」
知識から真理へ…そして再び知識へ
脱出
著者等紹介
ジジェク,スラヴォイ[〓Zi〓Zek,Slavoj]
スロヴェニアのリュブリアナ大学教授。ラカン派マルクス主義者として、その多彩な活動は世界的に注目を浴びている。主なる著書に、『斜めから見る』『仮想化しきれない残余』『快楽の転移』『幻想の感染』(全て、青土社刊)他
中山徹[ナカヤマトオル]
1968年生まれ。筑波大学大学院博士課程文芸・言語研究科単位取得退学。英文学専攻。現在、共立女子大学、明治大学非常勤講師
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感想・レビュー
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またの名
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マルクス主義は宗教的だからダメ、との批判に真のマルクス主義=真のキリスト教だと開き直る。ローマ帝国時代に誕生したキリスト教の過激さがユルい多神教的な現代社会で最も疎まれていることは、ニューエイジ的ジェダイ騎士団に対して悪のダース・ベイダーがすぐ判るほどあからさまにキリストの表象になってる『スター・ウォーズ』を観れば明白と断言。宇宙の均衡を維持しカースト階級志向でお行儀良い東洋的知恵にとって、キリスト教は悪そのもの。マルクス主義・キリスト教・精神分析の胡散臭い集団を解放共同体に統合するとか正気の沙汰でない。2014/04/22