内容説明
心理学でも科学でもない精神分析に固有の経験。それはフロイト理論誕生以来百年、精神分析への抵抗を生みだすとともに、“不可能”への抵抗として理論を不断に更新しつづけてきた。フロイトへの回帰を説いたラカンによる「抵抗」の全軌跡を批判的に検討し、精神分析の可能性を未来へと押し開く。
目次
第1部 抵抗と反復―フロイトの欲望(「抵抗」の歴史―百年後の「ヒステリー研究」;転移の言説、言説の転移―二人の分析家、二つの反復)
第2部 狂気と政治―哲学(へ)の抵抗(「不可能なもの」をめぐって―バタイユと精神分析;城の外に出ること―アルチュセールと精神分析;「抵抗」の思考―デリダと精神分析)
第3部 経験と論理―精神分析(へ)の抵抗(ラカン(へ)の抵抗
精神分析的思考―ラカン理論における経験と論理)
著者等紹介
十川幸司[トガワコウジ]
1959年香川県生まれ。山口大学医学部卒業後、自治医科大学精神科に研修医として勤務。’90~91年フランス、プレモントレ病院勤務(フランス政府給費留学生)。’92~96年パリ第八大学、高等社会学院(E.H.E.S.S.)にて精神分析、哲学を専攻。現在、都内で精神分析家、精神科医として勤務。共著に「La normalit´e comme sympt^ome, Point hors ligne」(’92年)、共訳に「精神分析事典」「フロイト&ラカン事典」「臨床心理学事典」などがある
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