内容説明
生命の世界を、生物ばかりでなく組織や細胞までもがメッセージを交換しあう「記号圏」としてとらえる「生命記号論」。脳やDNAによる決定論的生命観を乗り越え、「自然」と「文化」の対立を相対化し、「意識」の誕生の謎に迫る。
目次
1 宇宙の誕生・意味の発生―「なにもない」虚空から、そこに浮かぶものへ
2 失われるもの、生き残るもの―生物の歴史と記号・忘却の弁証法
3 宿命と自由の相克―習慣化する自然と傾向
4 自我の発明―生物と自己言及、主体性の問題
5 生命記号圏の幕開き―感受する生物の世界
6 自己の定義―動きまわる脳・細胞の言語
7 データと真実、科学技術と自然の連結―二元論から三項関係へ
8 世界の共有―言語、実存する生物人類学
9 意識の統一―意識・脳の中の肉体の統治者
10 自然と人間の和解―倫理・肉体と心を調和させる物語