出版社内容情報
十七、八世紀の博物学の収集庫や医学博物館にならべられていた、又は学術雑誌、医学書に記録されていたこの上もなく奇怪かつ珍奇なものを紹介したものである。人魚の干物、巨人の脛骨、一角獣の角、畸形動物の塩漬けなどは珍しくもない.....。(立花隆『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』 264頁、より)
内容説明
人体の内部に大量のシラミが発生する奇病。自然発火する人体。妊娠中の母親の心の状態によって、胎児が異形化する悪夢の物語。そして、謎の難病によって類人猿のような外貌を与えられた、女性版エレファントマンの悲劇…。気鋭の医学博士が、古代から現代に至る“医学”の歴史を渉猟し、人間の暗部に生き続ける迷信と狂言を鮮やかに摘出する、暗黒カルテのアンソロジー。
目次
1 自然発火する人体
2 胃の中の蛙、そして蛇
3 蝨病の謎
4 地面の下の巨人たち
5 仮死と生き埋葬
6 兎を生んだ女、メアリ・トフト
7 胎内感応奇譚
8 尾のある人々
9 ハンター博物館の三つの標本
10 ジュリア・パストラーナの物語
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かりさ
70
原題『医学的珍奇の陳列棚』は医師である著者が、自然発火、生き埋葬、猿女、双頭少年、…など医学史の周縁にある「奇怪なもの、珍奇なもの」を医師として専門的な考察と診断を添えて綴られる大変興味深く読み応えある書物。当時の人々が迷信やオカルト的に驚異に感じていた事象の数々は、現在ならば医学的科学的に解明されることでも真面目に信じ騙され恐れを為してきた姿は人間の悲哀に通じ、切なくもあります。それもそれぞれの地域文化や時代背景など、紛うことなき歴史の貴重な資料として大いに興味を持って読みました。2019/02/11
太鼓
10
自分が知らない奇病や風習が今も世界中に残っているんでしょうね。そして昔は、原因不明のそれらが日常の中で異常なものとして扱われていた。オカルトの発生過程を知ることができます。すべてはよくわからない、真偽不明のことから発生している。またオカルトで多数の人を騙し、大金をせしめる女性の話も出てきます。ヨーロッパの大きな町が結構な騒ぎになっています。歴史の本には載っていない歴史の本ともいえそうです。2016/06/12
サンノート
10
よくある世界史の有名な出来事が表の世界史だとしたら、本書で紹介されているのは、なかなか触れることのない裏の世界史といってもいいだろう。畸形やペテン、オカルトやニセ科学など、一般にグロテスクなものを扱っている。時代性を感じさせるのは、当時の人々の多くがそれらを信じていたということだ。社会通念として扱われているニセの病気もあった。これはもちろん昔のことなので仕方がない。そして当時は人々を騙し、金を巻き上げるのにも利用されている。人間の騙されやすさを思うと共に、人間の負のバイタリティを見た。2016/01/10
フジ
8
いま考えると悲しい話ばかりですね。現代では笑い話になってしまうエピソードが多い。でも当時の人たちは大まじめに信じていたんでしょうね。2016/02/21
ハマギン
7
時代はもう昔、無知ゆえの悲しい話がたくさんあって、こちらまで悲しい気持ちに。科学がまだ発展しておらず、無知は無知で仕方ないのだが、今となっては滑稽なエピソードもたくさん。ただ、今の時代にも違った形で似たような事例はありそうな気がします。私たちも世界のすべてを知っているわけではないのですから。2016/07/14