内容説明
今、明かされた日本語の謎。日本語の起源を弥生時代とする従来の説を排し、その濫觴を縄文時代に求めた本書は、“日本語の誕生”のみならず、いわゆる上代特殊仮名遣い、連濁・四つ仮名現象、アクセントの発生、方言分布など、日本語学における難問をここに解き明かした。記念碑的労作。
目次
第1章 縄文文化―考古学の立場から
第2章 縄文人―人類学の立場から
第3章 日本語系統論
第4章 縄文語の復元
第5章 弥生語の成立
第6章 縄文語の形成
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
秋色の服(旧カットマン)
1
考古学・人類学の成果を踏まえ、日本語の起源論を述べて、縄文語からの「国内形成論」の主張。音声対応があるかないかで他の外国語を祖型とする説を批判するのだが。どうなのだろうか。私は安本美典氏の統計的な手法にかえって興味を持った。ロロ語、シンハラ語と東京方言がアイヌ方言よりやや高く出ている。地理的に離れているから同氏は「古極東アジア語」に含めなかった。これが多分、残念なのだと思う。2018/12/31
三休
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現在の考古学的情報を基本にすれば、西日本域のある時期以降の縄文語が弥生時代の言葉となり、日本語になったということになるのではないでしょうか。2015/03/25
御光堂
0
縄文時代の北九州の言語(縄文語北九州方言)が日本語の基礎、上代特殊仮名遣いで表される音の起源、アクセントの起源、東北と山陰の方言は縄文語の名残、琉球語の日本語からの分岐は通説よりも早い時期(縄文末期)、といったことなどが論じられている。
てらもりそうた
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近年、考古学的見地から日本文化の基層は縄文時代にまで遡れるものだと言われていますが、それと同様に日本語の原形も縄文時代にすでに成立していたのではないか、という内容の本です。いわゆる「日本語の起源論」としても決定版と言って良いでしょう。
kamo
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縄文語という聞きなれない言葉に思わず手に取ってみた。奈良時代より前の、弥生時代より前の縄文時代の人々の言葉を求める一冊。まさに旅。各地を旅行して地元の人々の言葉に耳を傾けてみたくなる。2018/01/19