内容説明
精神分析誕生の端緒となった病=ヒステリー。豊富な臨床経験をもとに、フロイト・ラカン理論を徹底的に読み直し、この「性関係」の病の原因から治療までを明確かつ厳密に提示する精神医学の最新成果。
目次
1 分析でのヒステリーの表情
2 ヒステリーの原因
3 ヒステリー者の性生活
4 ヒステリーの幻想
5 ヒステリーにおける子宮=基本的幻想
6 ヒステリーと強迫、恐怖の幻想の差異
7 ヒステリー者の想像的肖像
8 ヒステリーの精神分析療法と分析の終結
9 点的記述
10 ヒステリーについての質問と回答
11 シャルコー、ジャネ、フロイト、及びラカンの理論によるヒステリー盲
12 ヒステリーについてのS・フロイトとJ・ラカンの著作抜粋
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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「なに言ってんだこいつ」という視点ぬきに、今の時代に精神分析の文献を読むことはむずかしい。フロイトの時代には、ヒステリーの症状にフロイトが与えた説明図式は、かなりの説得力があるものと見えたにちがいないけれど、現在では、「華々しいヒステリー者」はどこかに消え去ってしまったようなのだ。その文脈の上に立つ本書は、ラカン派の観点から「幻想」の概念を軸に、ヒステリー者の精神構造を症状ぬきに記述しうるものとして示すものである。ラカン派の別の著作(『妄想はなぜ必要か』)でもそうだったが、「症状ぬきの構造」とはいやはや。2017/08/25