内容説明
今ある現実を超えていこうとする「倒錯」と「ユートピア」への衝動は、いかに人間の自我を変え、社会を変えていくのか―。フロイトの精神分析とフランクフルト学派の哲学を柱に、ベンヤミン、アドルノ、ハバーマス、ラカン、フーコーなど、現代思想の全潮流を総括し、冷戦以後の政治・社会・文化状況を視野に入れた新しい「主体」の理論。
目次
第1章 「わたしはなんにも慰めを与えられない」―文明に対するフロイトの両価的批判
補章 批判理論における留保されたユートピア的モティーフ
第2章 「控えめな解釈者」―フロイトと自我の問題
第3章 暴力としての総合―ラカンとアドルノの自我
第4章 言語的転回それとも偶像禁止?―精神分析理論における欲望、イメージとことば
第5章 昇華―ひとつの臨界概念