内容説明
常に新しい解釈を誘い、多様な読みを可能にする漱石―。その漱石テクストに働く見えない制度・権力・欲望等の形をあぶり出す。家・家族・家庭をコードとしてテクストを反転させ、現代に生きる漱石テクストの新たな読み換えを試みるダイナミックな論考。
目次
第1部 「家」の文法(『坊つちやん』の山の手;イニシエーションの街『三四郎』;高等教育の中の男たち『こゝろ』 ほか)
第2部 「家族」の神話学(鏡の中の『三四郎』;眼差としての他者『こゝろ』;『こゝろ』のオイディプス―反転する語り ほか)
第3部 「家庭」の記号学(修身の「家」 記号の「家」;隠す『明暗』 暴く『明暗』;「家」の不在『門』;劇としての沈黙『道草』)