感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
103
仏の評論家バルトのエッセイ集。音楽、映画といった身近なことが取り上げられている。権威主義的にならずに、あくまで自分の文体でエッセイをまとめあげようとするバルトの態度に共感した。テレビなどで早口でしゃべりまくることに疑問を投げかけている所などは鋭いと思う。控えめでしなやかで、機知に富む文体は読んでいて非常に心地良い。おまけに嫌味にならない程度に知性が滲み出ているので、しびれる。気に入った一節をご紹介。「「大きな世界」にたいし、個別化のたゆまぬ分割によって闘いを挑まねばならない」2014/08/02
あなた
7
バルトがいうように図書館は「訪れる」場所であって「住む」場所ではない。図書館という巨大な装置との邂逅の衝撃によって言説の冒険にくり出したのはフーコーだった。フーコーはまさしくそのとき図書館に「訪れた」のだ。この「訪れる」という意味合いには欲望の「不一致=錯誤」という意味が含まれている。欲望の錯誤がなければフーコーは《衝撃》をうけなかった。いうなれば、私達は読みたい本に「であう」ために図書館に赴くのではなくて「であわない」ために「そらす」ために図書簡に赴く。(コメに続2010/06/24
watausa
2
「エスプリ」という言葉は、この人の文章のためにあるのかもしれない。私の生まれたころの文章は今も色褪せず、ぴりりと効いている。2012/03/01