内容説明
知恵と哄笑と幻想と。『千夜一夜物語』などを産んだ、豊かな口承文芸の歴史を持つアラブ世界。サウディアラビア、エジプト、パレスティナ、ヨルダンなどのイスラム地域で語り伝えられてきた、宗教心が篤くて気位が高く、喧嘩っ早くて正義を重んじる民族の、軽妙なユーモアと豊かな想像力を纒めた本邦初のアラブ民話集成。
目次
粗毛で織られたテントの下で語られた物語―ベドウィン物語
ジンとグールとイフリート―魔術と超自然の物語
魔術による結婚と不釣り合いな夫婦―超自然の物語
地を行く獣たちと大空を舞う鳥たち―動物物語
広くその名を知られた愚か者と悪戯者―ジュハーとその同類の物語
善男善女と金言―宗教的な物語と道徳的な教訓
手練手管に長けた女たちと利口な男たち―機知と知恵の物語
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
れどれ
3
めたんこ面白かった。王様、商人、砂漠……。イメージ通りの中東の世界観だが、何にもまして”アッラー”の存在が重要視されているとよくわかる。言葉の節々に脈絡なく登場するアッラーは、言葉の外や裏にも常におはすのだろうといやでも察せられる。話自体も面白い。現代日本やら欧米諸国とはかけ離れた論理の違いが魅力。ロゴスとは全く別の秩序。日本的な思考に縛られるな、などと言い欧米志向を取り入れようとする層に圧倒的に欠けがちな視点がここには含まれまくってる。モロッコが群を抜いてやばかった。無為な人殺しや裏切りが多すぎる。2022/05/12
