内容説明
ヒト存在における根源的欠如は、シニフィアンという他者で補填されることにより、人間という症候を形づくる。この精神分析の究極のテーゼを、夢・記憶・同一化・転移・信念から共同幻想まで、人間の意識のさまざまな位相に適用して現実を解析する、精神分析的人間論の新地平。
目次
1 心的構造の生成と異常(アブジェクシオンを超えて;構造の病―人間という症候)
2 夢・記憶・時間(夢の構造;心的回路と記憶システム;フロイトの時間論)
3 科学・宗教・真理(精神病理学は科学である;「幸福の科学」は科学ではない;虚構としての真理)
4 同一化・転移(人はなぜ鯨を愛するのだろう?;方法叙説から叙説方法へ)