内容説明
壮大な神話・伝承・秘儀の系譜。神と悪魔、善と悪、光と闇の二元論や終末論を生み出して人類の思想の一原型となったゾロアスター教。オリエント世界のみならずローマ帝国全土を席捲し、一時はキリスト教をしのぐ勢いをしめしたミトラス教。これら最古の世界宗教をはぐくんだ古代ペルシアの伝承世界を紹介し、神話と密儀の詳細をさぐる。
目次
1 古代ペルシアの神話
2 ゾロアスター教の神話
3 ズルワン教―ゾロアスター教の異端
4 ミトラス(ミスラ)教の神話
5 神話と予言者
6 神話と王
7 神話と歴史
8 神話と儀礼とシンボリズム
結び 神話と信仰
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マウリツィウス
17
【ゾロアスター教】ペルシア由来の教祖ゾロアスターを創始者とするも新約聖書原型説は本来は否定される。何故なら虚構性重視の宗教像とは二元論を多分に孕み、新約キリスト教とは相反する。一神教性格で一致点が見られ、天使と悪魔の配置の二極化はボゴミル的ではなく古代オリエント的、新約聖書≠旧約聖書性質を鑑みると、ゾロアスター教とは旧約聖書の克服を試みるも先駆的にイエスに福音を説かれギリシャ異教同様に追放された。アヴェスタ経典は新約的ではなくインド経典系列に属するも多神教を包含していない。この書は宗教多元論の好著である。2013/06/05
ダージリン
2
ゾロアスター教というと何となく善悪の闘争というイメージだけを持っていたが、少し具体的に想像出来るようになった気がする。遺跡、遺物の写真が多いのも有り難く、ペルシャの文化のイメージを豊かに与えてくれる。善き創造は積極的に生み出していくべきという行動主義者の倫理観があると書かれているが、この考え方は結構良いなあと思えた。2017/08/27
karatte
1
古本屋にて半額で購入。図版が豊富で巻末の地図も便利。2008/10/03
Myrmidon
0
なんかイマイチ頭に入らない。同時並行的に読んでた『古代オリエントの宗教』(青木健)のおかげで相対化して読むことができたが、逆に「どんな文献に基づいた推定で、いつ・どこのゾロアスター教徒の教義だよ!?」ってのが気になってあまり入り込めなかった。『シャー・ナーメ』を中心とした旨が述べられているので、11世紀~のある意味ゾロアスター教が「死んだ」後の神話になるんだろうが。あ、でも異常に抽象概念的な神の捉え方とか面白かった点もあるっす。2012/12/17