内容説明
ヨーロッパはどのように成立したのか。インド・ヨーロッパ語族が、通説よりはるかに古い起源をもつことを立証し、ヨーロッパ人の起源を4000年以上もさかのぼらせ、言語の系譜論に新しい視座を導入して、文明論の展開に画期的な地平を拓いた、問題の書。
目次
序 セイレーンはどんな歌を謡ったか?
第1章 インド・ヨーロッパ祖語をめぐる素描
第2章 考古学から見たインド・ヨーロッパ人
第3章 失われた言語と忘れられた古文書
第4章 原故郷はどこか?
第5章 言語変化の説明モデル
第6章 言語・人口・社会組織―プロセスを通じてのアプローチ
第7章 ヨーロッパにおける初期の言語伝播
第8章 初期インド・イラン語とその起源について
第9章 ケルト人とは誰か?
第10章 誤読された神話群
第11章 考古学とインド・ヨーロッパの起源
感想・レビュー
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loanmeadime
19
言語学についてはほとんど無知、考古学については中学高校の社会科の初めの何ページかの知識、といった状況で読むには歯ごたえが凄い本でした。考古学と言語学の相互依存ではなく、建設的な統合を目指すのに、プロセス考古学の手法を用いる、というのが趣旨と思いますが、個々の検討対象については綿密で誠実な記述がされているものと思います。しかし、何千年も昔の言語という、どのようなものか非常に判りにくいものを対象とするので時に結論が見えにくくなるのは仕方のないことなんだろうと思います。2022/01/25
ひさしぶり
7
文化、民族 = 言語 ではない。人種、民族、移動を過大視せず背景の経済的社会的プロセスを見る必要がある。神話に頼りすぎる研究は良くないが遺跡、聖典の痕跡は有意義。地名、川の名前とか口承の後書きとめられたものの意義等。 一つの解に一つの方程式を良しとする日本の教育の弊害なのか、ひとつの事由に二重以上で畳みかけられる論調に頭の中パンクしそう。子供の「世界史図説」めくつたらスッキリした。2019/04/15