内容説明
構造主義、サイバネティックス、エコロジーなど、現代思想のさまざまな潮流の源泉に位置するベイトソンが、生命科学の最先端から、〈意識〉〈美〉〈聖〉の領域へ踏み込み、ホリスティックな認識論の可能性をさぐる。
目次
精神過程の世界
メタローグ―なぜお話するの?
モデル
超自然論でもなく機械論でもなく
汝の左手に知らしむべからず
信仰の擁護
自然と養育のメッセージ
侮られざる神
織地のなかの構造
無垢と経験
結局メタ・フォーって何?〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
10
天使は神の言葉のメッセンジャーであり、数学化された情報理論にもその文化的フレームは生き延びている(両者共に戦争を伝える際に活発に活動する)。では、天使も恐れて近寄らない場所とはどこなのか? そこは、情報の発信源たる神の場所などではない。数量化し言語化し切れない場所つまり日常である。そこでは質と量、物と生命が組み合わさって生態を成している。シェイクスピアの読者なら、no where(どこにもない)=now here(今ここ)であることが理解できるあの日常だ。日常は始点にも終点にもなりえず生態として生成する。2017/02/16
べっか
3
科学主義と超自然主義のどちらにも傾かず、<精神 (こころ)>を記述すること。聖なるもの、美、宗教とは人間の心身の関係性、生命圏の関係性より立ち現れる。AI〈エーアイ〉の時代となった今、ベイトソンは<天使おそれる領域>をどう書き換えただろうか。2020/08/26
masmt
3
ベイトソンと娘による合作。執筆中に父親の方は死んでしまった。残った遺稿を娘がうまくまとめている。いかんせんベイトソン的な思考法がインストールできてないせいか統一的な理解をまだ得られてないが、印象的な言葉がたくさん詰まっていた。科学の側もスピ系の側も批判するベイトソン先生は大変だったなー2009/08/05
ULTRA LUCKY SEVEN
1
何というか、ベイトソンの本って「本」じゃない。 何だろうね。書き言葉が苦手だし、「喋り言葉」を「文字化」してくれる部分が好き。 2016/01/11
テッテレこだち
1
難解だけどおもしろかった。しかし理解できたとはたぶんいえない。訳者あとがきの通り、くりかえし読み深めることが必要な本かなと思う。2011/12/06