内容説明
本書は、世界を代表する映画監督・舞台演出家、イングマール・ベルイマンがアメリカの大学で行った、インタヴュー形式によるセミナーの全記録である。知られざる過去の悩みから、成功作・失敗作にいたるまで、その明快、率直な話しぶりは、「暗くて難解」という従来のベルイマン観を打ち破り、ひととのふれあいを大切にする人間的芸術家の素顔を浮き彫りにしている。
目次
1 映画・演劇プロジェクトの創造暗闇へ投げこむ槍(映画館が大学だった―影響された人びと;アイデアをつらぬく作家たち―フェリーニ、ブレッソンほか ほか)
2 映画の企画から上映まで私は人間の顔にもう夢中なんだ(討論は絶対オープンに―俳優とのシナリオ検討会;カメラを持って彼女に近づく―リヴ・ウルマンとバーグマン ほか)
3 演劇の企画から公演まで演技は観客の心の中で(「欲しい俳優は皆もらえますね?」―企画からキャスティングまで;エリオット・グールドの不幸―アメリカ演劇の問題点 ほか)
4 映画と演劇によるコミュニケーションわれわれはすべてを語らねばならぬ(神の巨大な眼が私をみつめていた―幼年時代;『冬の光』で神との関係を絶つ―監督修業時代 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mizzan72
4
ベルイマンのセミナーをまとめた一冊。作品は「野いちご」しか観たことがないのですけど、本書を通して、たった一作観ただけのベルイマンの映画に、こうも惹かれる理由が見えた気がします。「沈黙」とくれば、日本人なら遠藤周作を連想してしまいますが、神との関係が創作活動のそもそもの動機と結びついている点は、周作氏との類似性を感じました。……まあ少なくとも、もう数作は映画自体を観てみないと内なる答えは出ないし、私はまだ、氏について語れるようなスタート地点にも立ってはいない気がします。2016/12/09
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