出版社内容情報
新型コロナ・パンデミックス初期に最も激しい反応を世界規模で喚起した哲学的言説は、まちがいなくジョルジョ・アガンベンのそれであった。感染症対応としての非常事態宣言措置に伴うさまざまな権利の制限に強い懸念を示した彼の発言とその理路は、当時の混乱からひとまず醒めたいまの目から改めて読み直すならば至極、現代思想の原理原則に忠実にもみえる。今特集では、統治と非統治(=アナーキー)を同時に考えることで対話のフィールドを作り出すことを目指す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
バーニング
5
グレーバーの影響が大きい一冊。グレーバーを読もうという気にはあまりならないが、彼の議論のポイントと弱点くらいは知りたいと思っていたので、とりわけ社会思想学会のシンポが収録されているのは面白かった。特にウェーバーの専門家である野口雅弘がウェーバーとグレーバーを並べて議論しているのが面白い。それ以外だと玉手慎太郎がロールズとノージックを並べながら、ロールズがなぜアナーキーを議論から除外したのか、その理由と(ノージックへの)優位性について丁寧に議論しているのが興味深い。この論文のために買ってよかったと思える。2025/05/12
urs
2
未登録分2025/05/13
読書家さんワタルサン
1
「今の私たちの社会はベーシックなところがどんどん予測不可能になる一方で、民主主義的な「即興の空間」は閉ざされつつある」 スピノザ的アナーキー 子供になること→臣民になること→真にオルタナティブな行動をなすこと 秩序や統治を批判するだけでは真に自由になり得ない。自由(意志)などないと考えるところからアナーキーを始めなければいけないと感じた。2025/04/03
zunzun
1
デヴィッド・グレーバーがやたらにでてくる号で、ヨーロッパの思想からこぼれ落ちたサイードがいうところのオリエンタリズム的なものの現代版が、現代ではグレーバーの『民主主義の非西洋起源について』や『万物の黎明~人類史を根本からくつがえす~』に見出されているようである。座談会では宇野重規がグレーバーは学術的に怪しいのに褒めて大丈夫か?とアメリカ研究者にいわれたといっている。数理的に歴史をみるピーター・ターチンなどによる批判があることから私ズンダもグレーバーときくとマーク フィッシャー (『資本主義リアリズム』)が2025/03/16