出版社内容情報
日増しに山積する地方行政の課題、迷走を続ける高等教育のガバナンス改革……いま各所で「自治」が軋みをあげている。しかし同時に――あるいはだからこそ――それら既存のセクターには必ずしも留まらぬスケールで、改めて「自治」の可能性をめぐるラディカルな思考が芽吹きつつあるのではないか。本特集では、人新世を見据えた反資本主義運動における新たなキーワードとしても注目を集めるこの概念を、さまざまなフィールドを横断しつつ原理的かつ具体的に問う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
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宮﨑雅人「地域経済と民主主義」(111頁~)は興味深い玉稿である。参考文献からしても、私が読んだこともある、読んでみたいものがあるからだ。ラヴィルの社会的連帯経済の2012年の邦訳本『連帯経済ーその国際的射程』生活書院 はぜひ読みたい。ハーシュマンの『経済発展の理論』や、ボワイエのレギュラシオン理論も懐かしい逸品である。日本の伝統的な、無尽講、頼母子講、宇沢弘文先生の社会的共通資本論の価値を活かした民主主義社会の再構築を期待したい。けっして、民主主義や自治が衰えているわけではない。協力できる相手も大事。2024/11/30