出版社内容情報
近代西洋に端を発し、日本ではとりわけ柳田国男らの主導により独自の体系化を遂げた「民俗学」。しかしそれは必ずしも伝統文化や古俗・伝承のみならず、現代に生きる私たちの「日常」そのものを広く捉え考える現在進行形の実践として、いまなお展開の途上にある。本特集ではそうした現代民俗学の最前線を、アメリカなど国外の動向にも目を向けつつ多彩なトピックを通じて一望する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐倉
15
日常と生活の中で言語化されないもの=当たり前となっているものを記録し言語化することでモノとの関係(門田岳久)やジェンダー(伏見裕子)介護(六車由実)コミュニケーションそのもの(廣田龍平、川松あかり)などを論じていく民俗学の様々な現在が論じられる。福島県の災害伝承館の語り部が国家に都合の良い語りを指導される例(川松)や、ひとつの言説がジェンダーの再生産を生み出す例など、言語化することで変化・硬直する現在をそれでも追っていこうとする未完のプロジェクトであるハナシ(川松)は民俗学全体に言えることのように思えた。2024/05/15
Myrmidon
3
表紙に記載された民俗学者を自分が一人も知らず、悲しい気持ちになったので一通り読了(一時は菊地暁さんの著書に寄り道)。「アカデミックな民俗学は西では弱い」とか「介護民俗学」、「スレンダーマン」といった個々の話題のほか、寄稿者の皆さんが思っていた以上に「自己」と学的探求を結びつけていたのが興味深かった。「民俗学」と聞くとどうしても「田舎のお年寄りのもとに都会のインテリが出かけていって、地域の過去を『発見』する」みたいなイメージを持ちがちだが、自分の中の「民俗学」像が多少は更新されたか。2024/07/07
hajimemasite
1
最近現代思想をよく読んでる気がする、と思ったけど、前に読んだのが2020年の統計学特集と2021年の恋愛特集だったので、そうでもなかった。私が最近本を読んでなさすぎて記憶の感覚が曖昧になっているのがバレただけですね。内容は「民俗学の現在」というには現在でもないような気がしないでもないですが、民俗学の世界観が詰まってて、結構楽しめました。し、やっぱり民俗学のキモはエピソードで、京大周りのドイツとフランスの研究所がある通りが京大生に「アルザス・ロレーヌ通り」と呼ばれてたのはちょっと好きエピ。2024/07/16
hiro6636
1
朝倉義之「民俗学とホラーの親和性、あるいは民俗学者はなぜすぐしんでしまうのか」の1 民俗学者すぐ死ぬに惹かれて購入。2024/06/05