出版社内容情報
ハマスへの「報復」として、パレスチナの地ではイスラエルによる爆撃と封鎖が続いている。目まぐるしく塗り替えられていく情況からは、しかし決していま始まったわけではないパレスチナ/イスラエル問題にねざす差別・植民・占領の歴史が浮かび上がってくる。この地で何が起きているのか――その背景となる構造的暴力に目を凝らす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
53
林先生の、帝国主義や植民地主義を批判する視点を失ってはいけない(21頁上段)と指摘されるのは正しいと思う。支配/隷属関係は、いじめと差別の日本社会でも妥当しよう。ハマースはアラビア語の意味で闘争心、熱情という(37頁上段)。広告欄で、『痛風の文化史』作品社(71頁)はそのうち罹患者の一人として看過できぬ。ガザ住民に最も影響を与えているのが病院の破壊(82頁上段)。ジュネーブ条約は医療機関への攻撃を禁じている(同頁下段)。イラク戦争のとき、世界史Aを担当していたときに使った板垣雄三先生は、87頁下段から要約2024/03/22
燃えつきた棒
30
特集のボリュームは220ページ。それぞれが重くて濃い内容で、なかなか進まなかった。僕には一気に読みするには重すぎるのだ。 初めに言っておくが、僕はハマスのテロ攻撃を礼賛しようとするのではない。 それどころか、結果的にイスラエルに非道な攻撃を開始させる口実を与えて、新たなナクバ(大惨事)を引き起こしたハマスの罪は極めて重いと考える。 近視眼的に、2023年10月7日のハマスの越境攻撃が全ての始まりだと見る人は、全責任をハマスに負わせようとするだろう。 だが、ハマスの攻撃の前には、1948年のイスラエル独立→2025/07/03
にたいも
8
アフラーム・ガッザーウィー作・岡真理訳「その十月の朝に」を読む。10月の朝、世界最大の野外監獄と呼ばれるガザからパラグライダーで飛び立った彼は祖父と祖母の故郷を初めて目にする。数時間後にイスラエル領内に奇襲攻撃に赴くパレスチナ難民の戦闘員の心に次々と浮かんでくる、この75年間のパレスチナの置かれてきた状況と家族への思い。〈ガザという小さな檻のなかに閉じ込められて、ぼくらが窒息状態になりながら、何度も何度も、繰り返し虐殺されていても、世界はただ横目で眺めているだけだった。〉2024/08/21
瀬希瑞 世季子
3
小田切論考と鵜飼論考を読んで視座が広がった。阿部論考はバトラーの追悼の政治の批判的乗り越えを試みた文書であり、これからが気になると思えるものだった。2024/02/11
うえまつ
1
保井さんの『「我々は人間動物と戦っているのだ」をどのように理解すればよいのか 』という論考が読みたくて購入。 KW:人間の動物化2024/02/24