出版社内容情報
追悼・森崎和江。「サークル村」の一員、そして「無名通信」の仕事を通して戦後思想家としての足跡をたどる。また、フェミニズム/ウーマンリブの思想家、そしてポストコロニアリズムの理論家としての側面を浮かび上がらせ、「聞き書き」を通した思想と実践についてアプローチする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shoko
16
2022年に逝去された森崎和江の総特集。森崎さんの仕事を見渡すにはよい入門書でした。ポストコロニアルやジェンダーといった単語が生まれる前から自分独自の方法で言葉を紡いできた人。朝鮮から引き揚げた植民二世としての原罪意識、自分探しに端を発した日本社会で周縁化された流者への聞き書き、産の思想などがキーワード。様々な寄稿者が、森崎さんの思考を好意的にも批判的にも論じていて、遺産とともに残された課題もある程度理解できてよかった。2023/05/10
クァベギ
2
買うべきか、図書館で借りて済ませるべきか、最初は悩んだけれど、おしゃれなデザインに引かれて購入を決めた。内容はもちろん充実している。森崎和江の思想の先見性を改めて認識した。どの論文もよかったが、しいて特に印象的だった論文をあげるとすると、姜信子によるもの(森崎との出会いについての痛切な思いが綴られている箇所)。また今津有梨による論文は、森崎の「非所有の所有」という思想をアップデート(?...いい表現がみつかりません)したものとして読むことができるように思う(以上、敬称略)。2022/12/12