感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
文狸
2
正直歯が立たずに飛ばし読みしたところも多々あった。またリベンジしたい。ひとつだけメモ、レヴィナスにとって「呼吸respiration」が、外部の侵襲による主体内部の拡散住居という内と外を区別する閉じた領域の不可能性と関連して、重要な概念だということは初めて知った。「肺実質とは何か」という常日頃から私が関心を持っている話に絡めて議論してみたい。2024/05/18
Seita
1
熊野純彦「世界と他者を肯定する思考のために」のみ。レヴィナスは「世界と存在への不信の果て」で、それでも世界と他者を肯定する。レヴィナスにとっての「他なるもの」はとりあえず風や水であり、パンでもある。風や水、大地などの「始原的なもの」は所有不可能である。人はこれを享受しており、また、すべての関係と所有はこの所有不可能なものの只中にあることになる。「だから、世界は肯定され、他者もまた肯定されなければならない。どのような生のなかでも世界は享受され、他者は超越しているから」である。2017/05/24
グスタフ
1
レヴィナスが語る『他者への、一方的な責任。他ならぬこの私が、背負うこの不均衡な関係』について。熊野氏は「そんなにナイーブに語ってしまって良いのか。これがレヴィナスに対する素朴で究極的な問題」と問題提起する。他の研究者からは「存在の志向の叩き売り」「行き過ぎ」「妄想的倫理であり破綻(狂気)を押さえ込む防衛機制」などの論評が躍る。対面の倫理が〈語られたこと〉として回収され、分析の対象とされることで、限りなく本人が意図したものから離れていくようだ。2012/09/17