出版社内容情報
『月は・・・太陽が見る夢』(1992)で商業監督デビューして30年。世界的に大きな反響を呼び、女性映画として高い評価を受けた『お嬢さん』から7年ぶりの長編映画であり、第75回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞した最新作『別れる決心』がまもなく待望の日本公開となる映画監督パク・チャヌクを特集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
30
新作を発表するたびに驚かされる。それでいて、ハリウッドに進出しニコール・キッドマンを迎えて撮っても、BBCでジョン・ル・カレ原作のスパイ小説をドラマ化しても、パク・チャヌクはパク・チャヌクであったという揺るぎなさもまた同時に感じさせる。最新作『別れる決心』にも、同じことが言える。血とエロスが抑制されたこの映画は、ゆえに一見、パク・チャヌクらしくない作品に思える。しかし、鏡やカメラを意図的に配置する本作は、それが覗く行為を表現しているというよりかは、対の構図を象徴しているはずだ。(つづく)2023/03/23
ますりん
1
数年前、ポン・ジュノやキム・ギドクを筆頭に韓国映画にドハマりしているときに、偶然「お嬢さん」を劇場で観て更にドハマリし、遡って「JSA」や「オールド・ボーイ」を観たクチ。作品自体はそれほど多くない(長編で10本)のに、この分厚さで様々な角度から評論されてしまうと、もう観直せという強迫にしか思えないではないですか。。完全に見過ごしていた作品も含めてしばらくパク・チャヌク祭り。この本にある、80年代までの低迷期を経て90年代から86世代の台頭、その後の現在に繋がる韓国映画史も勉強になる。2023/03/13