感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
5
脳が電脳に、身体が義体に置き換えられるのが当たり前になった近未来を描くSFは、十数年前の作品なのに次々実現していく黙示録かのよう。討論会場にリアルタイムで呟きが流れ、主犯のいない匿名群衆化した犯罪が連続発生し、脳内ハッキング戦の果てにオリジナルな行為者をもはや特定できない世界の魅力がさまざまに語られる。ヘーゲルやアルチュセールを論じてるかと思えば物語上の重要な概念「童貞」から特異な革命家クゼの発生が解き明かされ、サリンジャーや三島由紀夫といった作品内に登場する抵抗者のモチーフももちろん分析した満足の一冊。2016/10/17
ピク
5
宮崎駿・押井守と違って神山健治は相手の土台に乗った上で論を展開できるから読みでがあるなあ~(神山監督を巨匠と並列化するテスト).ネットの並列化の果てに個は生まれるのか、所詮「水は低きに流れる」のか、10年経っても、この世界は現在進行形で『攻殻機動隊S.A.C』の中にある.ここまでリアルと連動しようと試みて、実際にリアルと繋がり続けているSFはそうそう無いんじゃないだろうか.このレベルのTVアニメがまた生まれる可能性はあるのか.神山作品以外だと中村健治・古橋一浩・會川昇あたりにその可能性をひしと感じます.2014/09/27
茶屋 次郎
3
SSS劇場公開に伴う再版で購入!東さんと神山監督の対談内容を東日本大震災後として読むに、9.11後という括りすら最早過去として扱われ、この対談当時では想像も付かなかったであろうパラダイムシフトが今正に起きているのだな、と妙に実感。現実の延長が物語にリアリティを与えるのだとしたら、攻殻の作中で東京に核が落とされて遺棄されているという設定にまた強烈な意味が生まれてしまったと思う。神山監督の物語は果たして現実をどう喰うのか?興味は尽きない。2011/04/13
Auristela
1
このアニメとユングについて論じてくれる人いないかなぁ2015/05/07
mil
1
攻殻SACは「押井さんだったらきっとこう作るはずだ」の形。何の卑屈さもなくこれを言っちゃうところが神山監督のスマートで素敵な所だな。(でも実際の押井監督は既に全然別の所を目指しているんだけどね…というオチ有り)「クリエイトより消費行為がエレガントに」という発言も作る人ならではの指摘で興味深い。野崎訳と村上訳の「ライ麦」におけるホールデンの解釈の違い(ちなみにSACの笑い男は野崎訳に準ずる)などなど、攻殻SACの持つ深みにどんどんはまりこんでゆく一冊。海外作品は苦手だけど、サリンジャー、読んでみようかな。2014/01/25
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