内容説明
本書は、精神分析家でパリ・ディドロ大学精神病理学教授であるジャック・アンドレが主催したサンタンヌ病院のセミネールを編纂したものである。アンドレ・グリーンを中心とする6名の演者が、フランス精神分析における境界例(´etat limite)についてフロイトの諸概念を検証しつつ論じている。フランスの境界概念は、DSMのそれとは一線を画する。それは、境界性の問題から、メタサイコロジーと精神分析的精神病理を通して構成される。本書では、各演者の症例が素描されており、各々の治療の理論を知ることができる。フランス精神分析における、ラカン派とは異なる臨床を知るには格好の書である。
目次
第1章 唯一の対象
第2章 境界例の生成と状況
第3章 境界例は精神分析家にとって夢の患者なのか
第4章 境界例における分裂(clivage)と幼児性欲
第5章 境界性機能様式:いかなる境界か
第6章 境界性患者、境界性状況
著者等紹介
アンドレ,ジャック[アンドレ,ジャック] [Andr´e,Jacques]
1947年生まれ。精神分析家、フランス精神分析協会l’Association Psychanalytique de France(APF)会員、世界精神分析協会International psychoanalytical association(IPA)会員、パリ・ディドロ大学精神病理学教授、精神病理・精神分析研究センター長
シャベール,カトリーヌ[シャベール,カトリーヌ] [Chabert,Catherine]
1947年生まれ。臨床心理士、精神分析家。フランス精神分析協会APF会員。パリ・デカルト大学臨床心理学・精神病理学教授。実証心理学を学んだ後、精神分析的精神病理学研究にすすむ。D・アンジュー、D・ヴィドロシェらから指導を受ける。また、フランスの現代の心理学におけるロールシャッハの分析的な解釈、方法論を確立した
ドネ,ジャン=リュック[ドネ,ジャンリュック] [Donnet,Jean‐Luc]
1932年生まれ。神経精神科医、精神分析家、パリ精神分析協会SPP会員。パリ大学医学部(J・ドレイ教授)医長、1963‐1983年エティエンヌ・マルセル思春期デイケア・コンサルテーションセンター長、1983‐2000年ジャン・ファブロー・コンサルテーション精神分析センター長を務めた
フェディダ,ピエール[フェディダ,ピエール] [F´edida,Pierre]
1934年生まれ、2002年没。精神分析家。フランス精神分析協会APF会員。当初は哲学を志しG・ドゥルーズの講義をうけ、現象学と精神分析学に関心をもつ。1979年にパリ第7大学教授となり、精神病理研究所を開設し、多様な精神分析学派に開かれた議論の場を創設した
グリーン,アンドレ[グリーン,アンドレ] [Green,Andr´e]
1927年生まれ、2012年没。精神科医、精神分析家、パリ精神分析協会Soci´et´e psychanalytique de Paris(SPP)会員、世界精神分析協会IPA会員。サンタンヌ病院に勤務してH・エーの教えを受け、最初にM・ブヴェの教育分析を受けた。1967年頃までラカンのセミネールの熱心な参加者であったが、その後ラカンと袂を分かった。1965年以後SPPに所属し、1975年から1977年までIPA副会長、1986年から1989年までSPP会長を務めた
ヴィドロシェ,ダニエル[ヴィドロシェ,ダニエル] [Widl¨ocher,Daniel]
1929年生まれ。精神科医、精神分析家。1953年から1962年までラカンの教育分析を受けたのち、1964年以降はフランス分析協会APFに所属。サルペトリエール病院精神科長兼パリ第6大学医学部教授。2001年には国際精神分析学会IPAの会長を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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