内容説明
ひきこもり問題にどう対処すればよいのか。本書では、犯罪行動との関わり、不登校の問題、訪問活動、全国調査のデータなどを取り上げ、現在考えられる限りの対応法を探る。編者らによる座談会では、ヴァレリーのひきこもり体験や、ひきこもりとPTSDとの関連など、ひきこもり問題に一石を投じるたいへんユニークな論を展開。
目次
「ひきこもり」の現在形
ひきこもりをめぐって(座談会)―思春期心性のトポス
スチューデント・アパシーと社会的ひきこもり
ひきこもりと犯罪行動
広汎性発達障害とひきこもり
不登校とひきこもり
家に行くまで
「ひきこもり」の症状形成と時代精神―戦後五〇年の神経症症状の変遷の中で
「ひきこもり」問題とネットワークの課題―連携・協働の意義と可能性
「ひきこもり」の社会史
「ひきこもり」についての疑問
ひきこもりの現状と展望―全国の保健所・精神保健福祉センターへの調査から
二症例の引きこもり
「ひきこもり」について想う
「借り」を返したい―「ひきこもり」のささやかな治療論
著者等紹介
斎藤環[サイトウタマキ]
爽風会佐々木病院
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
第9846号
3
ちょっと前に出された引きこもりについての本。でも、多方面から引きこもりについて書かれてあり、引きこもりを具体的に考えるときの土台になりそうな本。それと、中井先生、青木先生、斎藤先生のひきこもり鼎談、面白かった。中井先生のやや脱線気味な話に和んでしまう。引きこもる人やその家族の息苦しさを緩めるのは、この脱線具合なのかもしれない。2012/04/13
か
0
身体的な痛みということを感じることが少なくなった現代において、小さな身体的な痛み受け止め、乗り越えるという経験は大事かもしれない。体罰が必要というわけではなく。痛みの受け止め方を学ぶ初歩として身体性というものは大事なところもあるのかもしれない。 いじめのPTSDの存在。幻聴など認識に作用するのは厄介だなあと思う。 ステューデント・アパシー。 実際に高学歴の友達にも退却性が見られている人がいる。生きていることの実感とかが欠如しているのかな。痛みとか苦しみとか、それこそ身体的な経験がない人に見られるのかな2024/06/19
昌也
0
「「ひきこもり」の現在形」より。p5「ひきこもり」は臨床単位でも診断名でもない。それは例えば「不登校」などと同様、一つの状態に対して与えられる名前に過ぎない。そこにはいかなる価値判断も含まれてはいない。むしろこの点が「ひきこもり」という存在の曖昧さにつながり、多くの臨床家から敬遠されがちな原因の一つとなっているのではないか。「「ひきこもり」の症状形成と時代精神」衣笠隆幸p130「ひきこもり」という用語は、本来臨床的には患者個人の状態像を表す用語で、疾患名ではない。しかし、最近臨床現場においても・・・2021/02/21