内容説明
アンデス―アマゾンを往復し、出会った、孤独の思考。南米ボリビアで「新しい音楽」として興隆したフォルクローレ。個人の物語を愛し、他者の音を聴かず、堂々と嘘を楽しむ…。共に演奏し、木を伐り、考える中で導かれた、ポスト関係論の人類学。
目次
序章 孤独とつながりの人類学
1章 旅の前にあるもの
2章 不器用な音楽家たち
3章 物語を愛する人々
4章 孤独の内に立ち上がる者たち
5章 他者に抗する戦士/旅人
6章 「不真面目」なひとりの楽器職人
7章 アマゾンの開拓者
終章 すでにそこにあるもの
著者等紹介
相田豊[アイダユタカ]
1990年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了。博士(学術)。専門は文化人類学、ラテンアメリカ地域研究。現在、上智大学基盤教育センター特任助教。ライフワークとしてボリビア音楽の演奏活動も行っている。ボリビアでのフィールドワーク中には、フェルナンド・ヒメネス氏にサンポーニャを師事。ボリビアの最大手レーベル、ディスコランディア社より自身のCDを発売するなど、ボリビア各地でフォルクローレ音楽の演奏経験を積む。また、在来音楽の分野でも、2017年にはボリビア大統領への表敬演奏を行ったほか、2019年には自身の主宰するボリビア在来音楽の保全・演奏団体「プロジェクト・タンタチャウイ」の活動に対して、ボリビア下院議員連盟よりチチカカ栄誉賞を授与されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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YO)))
18
めちゃくちゃ面白すぎる凄い本。 ボリビアのフォルクローレ音楽を取り巻く人びとの生き様─孤独の中で「とんでもなく新しいもの」を作り出そうとした─から、すべてを「関係」として理解しようとする文化人類学の潮流自体をも相対化し、「すでにそこ(内)にあるもの」を眼差そうとする稀有な試み。2025/04/12
mirie0908
2
めちゃ良かった!南米ボリビアのフォルクローレ成立の通史的な説明はもちろん、文化人類学的な深い洞察による、ボリビアのフォルクローレの本質の考察もすごい。ボリビア各地を回ってフォルクローレ音楽を取り巻く各層(音楽家や楽器製作者から素材提供業者まで)の綿密な体当たり的調査もすごい(自ら演奏者としても活動に参加)。参照される文化人類学やその他哲学・思想系の知見も多岐。それらから浮かびあがる分析結果には説得力ある。ボリビアとフォルクローレのことを知りたい層にも、従来の枠を超えた思想・人文書を読みたい層にもおすすめ。2025/03/12