内容説明
自閉スペクトラム症とADHDの当事者、潰瘍性大腸炎の当事者、互いを取材して考えた、それぞれが抱える苦悩と、それぞれにしか見えない世界。
目次
1 どういう症状か?(発達障害とは―頭木→横道;難病とは―横道→頭木)
2 どんな人生か?(発達障害と生いたち―頭木→横道;難病と生いたち―横道→頭木)
3 どうしてつらいのか?(発達性トラウマ障害―頭木→横道;難病のメンタリティ―横道→頭木)
4 だれと生きるのか?(発達障害とセクシャリティ―頭木→横道;難病と家族―横道→頭木)
著者等紹介
頭木弘樹[カシラギヒロキ]
文学紹介者。筑波大学卒。大学3年の20歳のときに難病になり、13年間の闘病生活を送る
横道誠[ヨコミチマコト]
京都府立大学文学部准教授。1979年生まれ。大阪市出身。博士(文学)(京都大学)。専門は文学・当事者研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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けんとまん1007
65
往復インタビューという形式について、最初に書かれていて、なるほどと思った。双方向の意味。それは、心と体についても言えること。「〇〇することの価値」もあるが「〇〇しないことの価値」もあるという、おしまいのほうに書かれていたフレーズが、最も強く心に残る。2024/11/07
ネギっ子gen
49
【深刻な病気や障害があるからこそ、見晴らしのいい場所に立てる】発達障害の当事者VS潰瘍性大腸炎の当事者。頭木:<からだの病気を、心のせいにしたがる人が多い/骨折を心のせいにする人はいないけど、内臓のようなブラックボックスだと、すぐに心のせいにしたがる。で、気の持ちようで良くなると言う。そういうことに凄く反撥があって、心身一体って言いたくないところもあります。体の病気なのに、心の問題にされて、心を変えて治せと言われるのは、非常に理不尽な気がする>と。柳澤桂子さんもそうでしたね(『認められぬ病』参照)…… ⇒2024/10/29
tomi
25
難病、潰瘍性大腸炎の当事者・頭木弘樹氏と発達障害の当事者・横道誠氏の往復インタビュー。心と体に生きづらさを抱えているお二人の、苦悩や当事者ならではの物事の捉えかたなどが語られている。共通点は重さも症状も人それぞれな事。自分の知人の同病者の例に当てはめられて、そんなはずはないと自分の症状を他人から否定される。同病相憐れむ、ではなく似た者同士で憎み合うこともある。等々。自閉スペクトラム症が強い横道氏の純文学よりも大衆文学のほうが難しいとの指摘は興味深い。2024/09/20
スズコ(梵我一如、一なる生命)
16
私自身は診断を受けたことはないけれど、それでも結構困るレベルで腸が弱く、人との距離感に発達障害の傾向を感じてきたので手に取る。発達障害と言っても人によってかなり異なりグラデーションみたいなもの、って本当そう思う(個人的には接触を完治して色が波のように変化するパソコンのカラーグラフみたい)。特に横道さんに頷くこと多数な一方で、彼のあけすけに喋られずにはいられない衝動からの言葉達に、受け取る側として傷つくものだ嫌なものだと学ぶ。共感の上に成り立つ大衆文学は読みにくくて純文学の方が読みやすいとかホントそれ!→2024/12/13
ヒヨドリスキ
10
自閉スペクタクルと潰瘍性大腸炎の当事者同士が語り合う。心と体どちらがツラいかとマウント取られがち問題や周囲の理解の無さ、具体的な症状から文学まで話は尽きない。漏らす事に世間はもっと寛容になって欲しいとかこの辺は朝井リョウと是非対談して欲しい。役に立たない人を切り捨てる風潮を批判したり、迷惑を掛け合うのはお互い様と言う世の中になって欲しいと言うのは同意。2024/06/10