内容説明
脱構築批評からフェミニズム批評、システム理論、そしてエコクリティシズムまで。20世紀から現代までの理論を幅広く学び、具体的な作品分析をとおして批評のプロセスも体感できる入門書。
目次
1 記号と物語(構造主義;物語論;受容理論;脱構築批評)
2 欲望と想像力(精神分析批評;テーマ批評;フェミニズム批評;ジェンダー批評;生成論)
3 歴史と社会(マルクス主義批評;文化唯物論/新歴史主義;ソシオクリティック;カルチュラル・スタディーズ;システム理論;ポストコロニアル批評/トランスナショナリズム)
4 テクストの外部へ(文学の社会学;メディア論;エコクリティシズム;翻訳論)
著者等紹介
小倉孝誠[オグラコウセイ]
慶應義塾大学教授、パリ・ソルボンヌ大学文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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K(日和)
13
私がやっているのは「テーマ批評」「ジェンダー批評」「ソシオクリティック」「クィア批評」「文学の社会学」「カルチュラル・スタディーズ」「ポストコロニアル批評」をかいつまんでいると言えそうだと理解した。それぞれ辿ってきた文脈があるため、ツールを使うときに原典を含め適宜参照したい。私が朧げにやっていることが体系立てて設計されているとわかった。2024/04/28
ラウリスタ~
12
文学理論の教科書として最新であり、フランスに偏らずに、英米独、さらにはフェミニズム、エコクリティシズム、日本帝国時代の日本語(翻訳論)など、アクチュアルな問題にもしっかり触れている。分野横断的な執筆陣の良さが随所に感じられる(文学理論ってフランスvs英米というイメージだが、当然それだけじゃないわけだ)。各章の前半で理論と歴史的展開、後半でいくつかの作品に基づいて実践的読解なので、わかりやすい。12章「ソシオクリティック」は文学作品内部で表現された社会・歴史など、16章「文学の社会学」は流通など作品の外部。2023/08/11
masabi
8
【概要】各理論の概説と理論を使って作品を読解する実践からなる。【感想】実践では小説以外にも演劇やアニメ作品も対象にする。哲学、社会学、精神分析など他の学問の成果や刺激を取り入れた理論や提唱された当時の問題意識などを知ることができた。2023/09/02
さとまる
4
図書館本。お手上げ。文学理論について知りたくて手を出してみたのだが、今の私にはレベルが高すぎて何が書いてあるのかすらわからなかった。かろうじてわかった部分も理論に基づいての批評と言うよりも、先に言いたいことがあり後付けで理論を構築した牽強付会のように感じてしまう。そもそも「批評」というものに対しての無理解が私にあるのかもしれない。2025/01/04
稟
3
19の批評理論を研究者たちが10頁程度でその概略と理論を用いた作品の分析をしてみせ、理論と実践の往還を示す。理論とは方法論であり、それをどのようにあてがうか、すなわち個々の作品をといかに読み替えられるか、という点にその価値を見出せるのだろうが、扱う作品の多くが海外の作品というのが類書の常であった。しかし本書は村田沙耶香、古川日出男などの作品分析でそれを行う。中でも卓越しているのはマルクス主義批評を担当した竹峰義和。ジブリの代表的な三作を見事に読み替えてみせた。このような入門書が増えるといいのだが。2023/04/30
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- 和書
- 恐れからの解放