内容説明
パラドクスを生きる人々。伊藤若冲やチューリングが生み出した文化には、不思議な共通点がある。文化史の地層から「自閉文化」の鉱脈を掘り起こし、「健常」な近代を問い直す斬新な試み。
目次
第1部 自閉症がつくる文化(若冲からチューリングへ;常数としてのマニエリスムと自閉症;自閉症とは何か ほか)
第2部 世界はそもそもパズルである(迷宮と蒐集―ルドルフ二世とアルチンボルド;「不思議の国」は「驚異の部屋」―ルイス・キャロルとアリス;名探偵・妖精・心霊―コナン・ドイルとホームズ ほか)
第3部 ずれた世界でよりよく生きる(『アリス』のパラドクス―自己言及を字義通り生きる;笑いのワンダーランド―二つの世界;自閉症から認知症へ―プロセスと崩れ)
著者等紹介
竹中均[タケナカヒトシ]
1958年生まれ。早稲田大学第一文学部社会学専修卒業、大阪大学大学院人間科学研究科社会学専攻博士後期課程単位取得満期退学。博士(人間科学)。現在、早稲田大学文学学術院教授。専攻は理論社会学、比較社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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読書熊
2
文化としての自閉を捉える2023/03/31
yoshiko
1
過去の著名人たちを「自閉症的」と括り検証することは、現在自閉症、自閉症グレイゾーンにいる人たちの社会的理解に繋がるアプローチになるのかな、と思いながら読んだ。ちびちび新しいものの見方があり、面白く読んだ。最後の認知症との比較も新たな気づきがあった。英語を軽くリスキング中なので、不思議の国のアリスを次のテキストに選ぼうかな。2025/06/29
しお
0
すごく良い本だった。「比喩的に言えば社会性とは、二個の点、場合によっては一個の点だけからでも円を見出す力です。」「こう考えると自閉とは一面では、外界に対して感覚的に開かれすぎている状態と見なせるのかもしれません。(中略)もしかすると障害を被っているのはむしろ、定型発達側の想像力なのでしょうか。」マニエリスムとサティ、ノーゲイムノーライフ、認知症などのトピックが良かった。掘り下げていきたい。2024/12/04