出版社内容情報
中島京子・初の児童文学エッセイ集
空想が日常の子ども時代、だれもが異世界へと旅する時間を持つ。物語に没頭する喜びは、ずっとあなたを支えてくれる。本を開いて、自分の中の子どもに会いにいこう。
『クマのプーさん』から『ゲド戦記』まで――作家を育てた18の物語。
【本文からの抜粋】
『プーさん』ほどに、完璧に、あの特別な時間と空間を、しっかりと閉じ込めた本はない。この本が世に出てから、まもなく百年が経とうとしているけれど、あいも変わらず子どもの心をとらえて離さないのも、大人にとってもことあるごとに読み返したくなるのも、『プーさん』の世界がホンモノで、そしてそれがわたしたちにとってたいせつなものであるからにほかならない。(第1章「プーの森で、ことばと遊ぶ」より)
生涯で『宝島』を読んでいないというのは、なんだろう、すごく大きな損失のような気がする。『宝島』を読むのは、物語に没頭するという、生きている喜びのうちもっとも楽しいことの一つの、圧倒的な体験なのだ。それなしに、生きることを、わたしはオススメしない。(第4章「物語に没頭する、圧倒的な幸福感」より)
子どものときに『不思議の国』や『鏡の国』に迷い込んだことがあれば、そののちもずっとその世界を持ち続けることができて、それは一生の友になるということだ。ワンダーランドは卒業を許さないのである。(第7章「ワンダーランドは卒業を許さない」より)
このエッセイ企画がスタートしたときから、最終章を『ゲド戦記』に、と決めていた。 というのも、この長いファンタジー・サーガは、たしかに「わたしを育てた」物語なのだけれども、幼いわたしを、というよりは、現在も育て続けている、特別な物語だからだ。(第18章「二十一世紀の読者のために作り直された、ル?グウィンからの贈り物」より)
内容説明
中島京子初の児童文学エッセイ集。『クマのプーさん』から『ゲド戦記』まで―作家を育てた18の物語。
目次
プーの森で、ことばと遊ぶ―A・A・ミルン『クマのプーさん』『プー横丁にたった家』
銀河ステーションから、めくるめく幻想世界へ―宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
二人がそれぞれ、親友のためにやったこと―エーリヒ・ケストナー『点子ちゃんとアントン』
物語に没頭する、圧倒的な幸福感―ロバート・ルイス・スティーヴンソン『宝島』
教訓を見いだそうとする者は追放されるだろう―マーク・トウェイン『ハックルベリ・フィンの冒険』『トム・ソーヤの冒険』
植物とコミュニケートする農系女子―フランシス・ホジソン・バーネット『秘密の花園』
ワンダーランドは卒業を許さない―ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』
「衣装だんす」で、ファンタジーと出会う―C・S・ルイス『ライオンと魔女』
コロボックルはわたしたちの先生なのだ―佐藤さとる『だれも知らない小さな国』
愛があれば。愛さえあれば。どんなに世界が苛酷でも。―カルロ・コッローディ『ピノッキオの冒険』〔ほか〕
著者等紹介
中島京子[ナカジマキョウコ]
1964年、東京都生まれ。東京女子大学文理学部史学科卒。出版社勤務、フリーライターを経て、2003年『FUTON』で小説家デビュー。2010年『小さいおうち』で直木賞、2014年『妻が椎茸だったころ』で泉鏡花文学賞、2015年『かたづの!』で河合隼雄物語賞、柴田錬三郎賞、歴史時代作家クラブ賞、同年『長いお別れ』で中央公論文芸賞、2016年日本医療小説大賞、2020年『夢見る帝国図書館』で紫式部文学賞、2022年『やさしい猫』で吉川英治文学賞、同年『ムーンライト・イン』『やさしい猫』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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