内容説明
生きる、老いる、病む、死ぬ―すべての人間の生に、サファリング(苦悩の経験)が伴っている。それを否定することなく、どう向き合い、生きぬくのか。国内外のフィールドから、苦悩の経験とケア実践のあり方を民族誌的に描き出す。
目次
サファリングは創造性の源泉になりうるか?
第1部 不確実性が生み出す苦悩(「リスク」と「あいまいさ」を生きる身体―出生前検査をめぐる調査から;慢性の病いと“揺れ”―ある成人先天性心疾患者の生活史経験から;偶然と必然のあいだを生きる―苦境に関する一考察)
第2部 社会的苦悩とケア(遠い場所―カナダ先住民サーニッチにとってのアルコールとそのサファリングとケアとしての居留地;「耕されている場」でピアであり続けること―“浦河べてるの家”のピアサポートの活動から;人生を物語るということ―老いとともにあるハンセン病療養所入所者の生活史から)
第3部 看取りと死をめぐるケア(自宅での看取りとそのサファリングの諸相―サファリングの創造性と絆の継承の視点から;ラオス低地農村部の看取りの現場におけるケアの連鎖―子どもの現場への関わりに注目して;“何もしないケア”―タイ・エイズホスピス寺院における死の看取り;「おぎゃー」と「お金」の間―ケアにおける暴力性と創造性)
著者等紹介
浮ヶ谷幸代[ウキガヤサチヨ]
相模女子大学人間社会学部人間心理学科教授。主な関心領域:慢性病や精神障がいとともに生きる人たちの経験や生活世界。医療福祉の専門家と宗教者の専門性研究。苦悩とケアの研究。老いと看取り、死についての研究など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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