内容説明
世界と人間との真実を凝視し書きつくしたチェーホフ。その短篇小説の特質、魅力を存分に浮かび上がらせつつ、今日に至るまで世界各国の文学、特に日本の作家たちに与えてきた幾重もの影響の波動を、さまざまな角度から精緻に読み解く。
目次
第1部 チェーホフの短篇はいかに作られたか(チェーホフ短篇小説論;短篇作家への道程―一九世紀ロシア作家とチェーホフ)
第2部 チェーホフの短篇は世界の短篇小説をいかに書きかえたか(モダン・チェーホフ?―チェーホフとキャサリン・マンスフィールド;アメリカン・チェーホフの系譜;チェーホフとの対話―ロシアの作家たちによるチェーホフ受容)
第3部 日本近代文学におけるチェーホフ(チェーホフに魅せられた日本;一九二〇年代のチェーホフ受容と芥川龍之介『玄鶴山房』;チェーホフと太宰治;正宗白鳥・井伏鱒二・小林秀雄におけるチェーホフ;チェーホフと村上春樹)
著者等紹介
井桁貞義[イゲタサダヨシ]
1948年神奈川県に生まれる。1977年早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、早稲田大学文学学術院教授(日本ロシア文学会前会長)
井上健[イノウエケン]
1948年東京都に生まれる。1977年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、日本大学国際関係学部教授・東京大学名誉教授(日本比較文学会前会長)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
川越読書旅団
21
これまでチェーホフの作品に関しては戯曲のみに特化して読んできたが、短編小説こそが氏の真骨頂である事を学ぶ。チェーホフ短編の特徴、その影響力、また、氏の作品を評価する世界そして日本の著名作家の貴重なコメントの記載もあり、非常に興味深く、為になる。2023/10/15
ぺったらぺたら子
14
チェーホフの短編は人知れず暗く冷たい深海にまで到達し、イカ語に翻訳されてイカに読まれてきた、、、という驚愕の新説。しかもヴァージニイカ・ウルフやキャサリン・イカフィールドがそれまでの伝統的なイカ文学を壊し、イカモダニズムへと至るその起爆剤としてチェーホフ短編は機能していたという。またタコにおいても、タコ・アンダーソンやヘミングタコ、そしてタコ・カーヴァーへと至るタコ・チェーホフの系譜がタコニズムをもたらす。エビでは芥川蝦之介が相当強く影響を受けていた、というのは言われれば凄く納得なのだが、盲点だった。2019/11/30
けいこう
3
英米露日本でのチェーホフの受容を手軽に知ることができる論集で勉強になった。2021/05/25
narmo
1
文学評論を何冊か読んで感じたのは、面白いと思える好みの評論と、まったく何も理解できない評論があるなぁということ。理解できないのは、私の読書量が少ないからだとは思います。しかし、「〜イズム」というワードが出てくるとつまんなくて拒否反応が出てしまう。いっぱい読めばそのうちに分かるの?…ま、いいか。2021/05/13
pon
1
〈私たちがチェーホフの短篇群の至るところに見るものは絶え間ない躓きだが、それは星を見つめていたために躓いた男の躓きである。〉というナボコフの言葉が印象に残っている。そろそろロシア文学講義を読みたい。2014/12/28
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