内容説明
計算や効率を超えた教育関係、信頼やかけがえのなさ、儀礼やたしなみなどの豊穣な教育文化にわけいる。規範的な教育学とも既存の教育社会学とも異なる新しい教育社会学。
目次
第1部 現代の教育文化(教育のニュー・メディア幻想;キャンパス文化の変容;教育達成と文化資本の形成)
第2部 学校空間と教育言説(儀礼=神話空間としての学校;教育問題と教育言説;教育イデオロギーとしてのアスレティシズム)
第3部 社会化と超社会化(家族と子どもの社会化;引退論序説―「降りること」の困難さについて)
第4部 教養とアカデミズムの変容(教養の制度化と利害衝突;立身出世主義にみる文学少年の近代;アカデミック・コミュニティのゆくえ)
著者等紹介
稲垣恭子[イナガキキョウコ]
京都大学大学院教育学研究科教授・京都大学博士(教育学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ととろ
2
放送大学の面接授業『師弟関係の社会学』の参考書として。授業では日本経済新聞の連載『私の履歴書』を題材に、職歴及び学校歴ごとの師弟関係の量(師の数と師1人当たりに対する文量)の違いから傾向を比較したのち、岩波文庫の創刊と時を同じくして拡がり始めた一方通行の師弟関係「私淑」の事例を紹介、最後に現代の新しい師弟関係の在り方について論じた。なお誤解を招かぬよう述べておくと、本著で師弟関係について論じている部分は僅かで、大部分は近代以降の教育と学歴の関係について論じている。2014/12/28
カンナバーレ
0
教育社会学の概論書としてはちょうどいい(もちろんこれ1冊で十分というわけにはいかないが)。ブルデュー、パーソンズ、ウェーバーについてもちょっとだけ学べる。2016/07/25
tomoz
0
★★★★☆文化資本が教育達成に与える効果が性別によって異なっていることにびっくり。「学校外教育投資は、男性の教育達成にのみ効果をもつ」一方で、「読書と芸術という文化資本は、女性に対してのみ教育達成を高める効果をもつ」。学歴が同じであれば、文化資本の高い女性ほど経済資本の高い男性と結婚する確率が高い。つまり、女の子が「お稽古」をしておくことは、学歴を高めることよりも、将来的に経済力のある男性と結婚する確率を高めるということ…。女の子には難関校を目指させるよりお嬢様学校に入れたい親がいるのも良く分かる~。2015/02/02
-
- 電子書籍
- 99%の会社はいらない ベスト新書