内容説明
進化の観点から人間の尊厳を徹底的に否定し、メタ倫理から応用倫理まで、宗教・平等・安楽死・動物等について自在に論じたレイチェルズ渾身の論文集。
目次
倫理学に答えはあるか
哲学者による性急な批評
積極的安楽死と消極的安楽死
殺すこと、死ぬにまかせること、そして生の価値
動物に権利はあるか
菜食主義を支持する道徳的議論
神と道徳的自律
嘘をつくことと絶対的規則の倫理
なぜプライバシーは重要なのか
平等という思想についての省察
人間の「ふさわしさ」について
偏見への取り組み
道徳、両親、そして子供
ジョン・デューイと倫理学の真理
転覆活動としての道徳哲学
著者等紹介
レイチェルズ,ジェームズ[レイチェルズ,ジェームズ][Rachels,James]
1941‐2003
古牧徳生[フルマキトクオ]
1989年京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。2008年、文学博士(論文博士、京都大学)。現在、名寄市立大学教授。専攻は中世哲学/進化論的人間学を中心とした現代倫理
次田憲和[ツギタノリカズ]
2002年京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。京都大学博士(文学)。現在、大阪芸術大学他非常勤講師。専攻は西洋近現代哲学、特に現象学系の哲学/現代英米の倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
20
97年初出。要点はゴシ太。理性的思考:理由を挙げ、主張を分析し、原則を立てて正当化する(15頁下段)。自由は人間と同じく動物にも当てはまる(64頁上段)。多種、他種の利益も自由の喪失で侵害される(65頁)。個体は伝記的意味での生を もつ(傍点)場合に生存権をもつ(86頁下段)。嘘が間違い:だますのは人に危害を与えるため。嘘は社会生活 に必要な条件の侵害になる(110頁~)。他人と多様な社会関係を維持するならプライバシーは必要(130頁上段)。 2015/03/21
Gradiva
4
応用倫理学の本なので軽い感じの読み口、「プライバシーはなぜ重要か」という章が面白かった。誰に何をどのくらい話すかというのがプライバシーを考える上で大切でありアイデンティティとプライバシーは密接だという話。そこだけでも拾い読みして欲しい。しかしポストヒューマニズムってよく意味がわからないんだけど、応用倫理学の本なんだからこのヒューマニズムは原義的な意味でのヒューマニズム(=人文主義)でポストヒューマニズムでいいの? 暇になったら調べたい。2018/11/26
関 峻之介
2
ムーア的分離に代わるものは、道徳哲学というものは通常の道徳の最深部に位置している前提さえも − 少なくとも潜在的には – 覆す可能性を秘めた一つの転覆活動であるとみなす態度である。 (p.241)2014/11/03