内容説明
個人化・私化・心理化する社会の動態を探る。ウェーバー、ミードから、ギデンズ、バウマンまで。社会学のキーパーソンは、自己、人間、アイデンティティ、人格、主体をどう語ってきたか。自己の「語り」を鍵として、社会学100年の歴史を構築し直す意欲作。
目次
序章 社会の発見から自己の発見へ
第1章 近代的個人―デュルケーム・ジンメル・ウェーバー
第2章 共同体的自己―クーリーとミード
第3章 大衆―西欧とアメリカの大衆社会論
第4章 対抗的アイデンティティ―1960年代の集合行動論
第5章 私化する自己―私化・ナルシズム・共同体主義
第6章 再帰的自己―ギデンズとベック
第7章 リキッドなアイデンティティと心理化する自己―深化する自己言及化の語り
終章 自己の発見から、再び社会の発見へ
著者等紹介
片桐雅隆[カタギリマサタカ]
1948年東京生まれ。1978年東京都立大学大学院社会科学研究科社会学専攻博士課程修了。大阪市立大学、中京大学、静岡大学を経て、千葉大学文学部教授。博士(文学)早稲田大学。専攻は社会学理論、自己論、現代社会論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽん教授(非実在系)
3
自己をテーマとする社会学史。そのため、デュルケムのアノミーからバウマンのリキッド・モダニティまで、所謂大衆社会論や後期近代化論を軸とした整理本として非常に有効。2021/05/17
きいち
3
自己、という観点から見た社会学の歴史。しっかり押さえることができる。2011/03/03
かとたか
1
タイトルからして心理学っぽいが、社会学史のテキストのような本。自己というものに対して社会学はどう向き合ってきたのかを学びたい人には最良のテキスト。そして、最後は個人化が、社会の喪失ではなく、新たな社会の構築、ネットワーク社会の構築へとつなげる語り口は参考にしたい。2025/05/03
金こんにゃく
1
心理化について理解を深めるために読んだ。「自己」という概念がどのような流れで検討されてきたか、その歴史が書かれている。覚えきれないが、なんとなく流れはつかめた。最近、社会学の本を読んでいるのは、テクノロジーの進歩が世界を変えるという未来観へのカウンターのヒントが欲しいからだ。心理化はそのヒントになるだろうか。2019/02/21
ゆうき
1
現代のリキッド、流動的な社会は常に自己に対して再帰性を求め新たな自己や物語の生成を要求する。2014/01/12