グローバリゼーションと暴力―マイノリティーの恐怖

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  • サイズ B6判/ページ数 248p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784790714552
  • NDC分類 316.8
  • Cコード C0036

内容説明

「文明の衝突」ではない。「文明の殺戮」だ。国民国家が力を失い、人びとのアイデンティティーがゆらいでいる現在、暴力こそが不安を解消するための手段となる。人類学の巨匠が、グローバル化の暗黒面と対峙する。

目次

第1章 民族の殺戮から理念の殺戮へ
第2章 衝突の文明
第3章 グローバリゼーションと暴力
第4章 小数の恐怖
第5章 わたしたちのテロリスト、わたしたち自身
第6章 理念の殺戮時代の草の根のグローバリゼーション

著者等紹介

アパドゥライ,アルジュン[アパドゥライ,アルジュン][Appadurai,Arjun]
1949年インドのボンベイ(現在のムンバイ)生まれ。シカゴ大学大学院博士課程修了、Ph.D.。シカゴ大学、イェール大学などの教授を歴任。現在、ニューヨーク大学メディア・文化・コミュニケーション学教授。専門は文化人類学、南アジア地域研究、文化理論など。トランスナショナル文化研究の専門誌、Public Cultureの創刊者。ムンバイで活動するNGO「PUKAR」の創始者。フォード財団、ユネスコ、世界銀行、などのアドバイザーも務める

藤倉達郎[フジクラタツロウ]
1966年京都生まれ。慶應義塾大学とアーモスト大学卒業、イェール大学法科大学院修士課程修了、シカゴ大学大学院博士課程修了、Ph.D.。現在、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科准教授。専門は人類学と地域研究、おもな調査地域はネパールと南アジア。Studies in Nepali History and Society編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sayan

25
なぜマイノリティに暴力が振るわれるのか、それは国民国家が力を失い、人びとのアイデンティティーがゆらいでいる現在、暴力こそが不安を解消する手段となるから、と著者はいう。そう結論付ける多数派と少数派のアイデンティティと力の諸関係は自由主義思想ではうまく対応できず暴力が蔓延するという分析はアクチュアルでゾッとする。Bブザンの社会的安全保障をめぐる議論は難解だが本書が良い補助線になる。各国が集まりグローバルアジェンダとして難民や分配的正義を議論する2020年、各国の社会の今は本書で14年前に鮮やかに示されている。2020/10/10

パラ野

15
9.11後の世界における、マジョリティとマイノリティの関係とか。インドの首相が来日した日に何となく読んだ偶然でした。インドにおけるヒンズー教がイスラム教をいかに敵として見たてていく部分など、不勉強な部分だったので、スリリングに読んだ。カースト制度の上位もまた、マイノリティになるのか。「性に対する道徳性のないアメリカ」のイメージが、アメリカ人観光客の身体に投影されるとか、そういう部分はあるよな、目の前のアメリカ人と関係なくとか思ってしまった。スマン。マジョリティと呼ばれることについて、考えさせられた。2014/09/01

roughfractus02

7
2001年以降の全世界監視状況下で統計・国勢調査・人口分布図という国家統治側の管理は強化され、マジョリティ/マイノリティの二項は対立的操作概念となった。本書では両者を「衝突」でなく「殺戮」に向かう脊髄型/細胞型のシステムとして扱う。従来マジョリティは自らのアイデンティティを保持するためにマイノリティの排除を目的に暴力を行使してきた。が、著者はこの構造の「捕食的」性質に分け入り、マイノリティもアイデンティティ保持のために暴力を行使するとし、現代は2つのシステムの「理念」の「殺戮」状況と捉える(2006刊)。2024/05/03

志原

2
「国民国家」「グロバリーゼーション」「金融」など目にはするけど実感の湧かない言葉が頻繁に用いられ、なんだか分からないまま終わってしまった。 分かるのは著者と私の世界は「グロバリーゼーション」と呼ばれているこの時代でも隔てられているということだ。ずっと日本に住んでいる私とムンバイからアメリカにまで渡り多言語と多文化の元で生きている著者との違いが埋まるように再読したい。2016/03/22

shusaw

1
原著2006年、本書が提示する構図は移り変わりが速い現代でも読むに値する。グローバル化が進展した1990年代以降、市場開放や金融資本の自由化が促進され、人権の拡大が支持される一方で、なぜ集団的に組織された暴力行使が多くの国々で見られるのか。その回答は、同じグローバル化が既存の社会にもたらした不確実性の増大によって、ナショナルなアイデンティティを再び求める運動が少数者・少数民族を排除する暴力と結びつくというものだ。ローカルなものはローカルな事情だけで説明できないという著者の思想的立場に関する訳者解説もいい。2018/04/27

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