内容説明
音楽の感動を、どう言葉にするか!フィーリングをロジックへと置き換える。ドビュッシー、プレスリー、ビートルズ、クィーン、井上陽水…を例に、練習問題集のように、「問い」と「答え」で解き明かす。
目次
サクラ・ソングの修辞学
国歌の機能
校歌の景観イメージ
和製フォーク
ブルースからロックンロールへ
ビートルズの音楽理論
ジャズという音楽ゲーム
テクノロジー
歌謡曲の音階
調性崩壊から十二音音楽へ
時間構造
不在の音楽
つくられた「日本」
音楽の物語性
著者等紹介
浜田邦裕[ハマダクニヒロ]
建築家・評論家。1960年生。東京大学大学院、AAスクール(ロンドン)修了。第11回美術手帖芸術評論入選(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
27
J-POP、ビートルズも含め、現代の音楽全般について、印象や形式でお茶を濁さないで、論理的思考をめぐらすための問題集の形をとりながら、そのまま読み進めていくことができる。「サクラ・ソングの修辞学」の末尾、「普段は論理的におかしいと考えることができても、直感やイメージの強さが勝ってしまうと、簡単に大衆は判断力を失うのが歴史の証明するところです。」は慧眼。2015/12/21
西澤 隆
4
論文や学術的な評論といった文章を書くトレーニングを専門の題材ではなく誰にでもひっかかる部分のある「今の音楽」でやるという練習帖。音楽についての文章は対象の音楽に対してなんらかの愛着を埋め込まれたものしか普段遭遇しないだけに、これだけ徹底的に感情を排したロジカルで簡潔な文章ばかり一冊読むとなんだか複雑な気分。音楽の構造についての相当に突っ込んだ話は、たとえば菊池成孔がするとその音への愛が充ち満ちていて門外漢でもかなり楽しめるのだけれどエンターティメントであることを拒否して純粋に学問でとなるとこうなるのかなあ2016/01/04
おおにし
1
音楽評論の書き方入門書。「神田川」に代表される四畳半フォークは学生運動の敗北の結果ではなく、外来のフォークソングがニューミュージックという形で、日本の音楽文化として生まれ変わる前の過渡期の音楽であるという論考はなるほどと思った。2012/03/06