内容説明
「神」の存在を信じなくても信仰が持てる?「自由」の概念に潜む宗教的な意味とは?宗教について、楽しく学びながら、自分の頭で考えてみたい!そんな貴方に贈る、知的冒険に満ちた、感動の全12章。
目次
第1部 宗教的議論とは何か(論理実証主義の宗教批判―科学的でないものを論じても意味がないか?;宗教の心理学的解釈―宗教は心の弱い者の逃げ場所か?)
第2部 無神論と悪の問題(「悪の問題」とは何か―神と悪は矛盾するか?;自由意志による弁護―悪があるのは人間の自由のせいか? ほか)
第3部 神の存在論証(宇宙論的論証―この世界はどうして存在するのか?;目的論的論証―ダーウィンは宗教の敵か? ほか)
第4部 信仰と理性(信仰の倫理―証拠がないことを信じてもよいか?;信仰という選択―本物の選択としての信仰 ほか)
著者等紹介
上枝美典[ウエエダヨシノリ]
1961年、愛媛県伊予三島市(現四国中央市)生まれ。京都大学文学部哲学科卒業。同大学院博士課程、Fordham大学(New York、U.S.A.)大学院哲学科を経て、福岡大学人文学部教授。専門は、西洋中世哲学史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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千尋
10
「神」について、有神論的立場と無神論的立場から考えていく本。全知全能の神を認めれば、人間の自由は存在しないことになってしまうがこの世に悪が存在することと、「神」が存在することを両立させようとすると人間に自由意思があることを認めなければいけなくて。はっきりと答えの出ない議論も新たな視点が得られるという点でとても大事だと痛感しました。日本人は無神論的立場の人が多いけど、「不信心に生きて、死んだときに神様がいたらどうしよう。」と思ったことのある人も多いはず。宗教について様々な視点が得られて為になりました。2014/02/11
ねぎとろ
2
西洋哲学が「神」という存在を、いかにして論理的・合理的に理解できるように格闘してきたか、そのあたりを解説した入門書。「進化論は自然が目的に向かって合理的に進むことを説明した」といったありがちな進化論の間違った説明がなされていて、少し不安になったが、全体として面白い本です。2011/06/18
とったん
1
「神」を定義しないで議論を始め、どんどん神の支配領域が狭まっていくのは本全体の構成を考えてのことだろうが、哲学としては姑息に感じられた。いろいろ弁神論を述べているが、有力と思われるものはなかった。定義に問題がある議論を筆者の一存で肯定しても結論は成立しない。西洋人がこういう議論をずっとしてきたという点で面白かった。2012/01/07
寝子
1
キリスト教的一神論の神をテーマに、その性質(全知・全能・至善)を悪の存在や自由意志のあり方との関連で検証し、存在論証や信仰の合理性に関する歴史的議論の流れを紹介している。これといった結論は現状無いし、これからも出ないと感じる。個人的興味は宇宙の始まりと人間原理。2012/10/29
ハクセキレイ
1
宗教批判を両方の立場からしていて読み進めるたびに発見があり、面白かった。 問題付きだったから、いつか手元において読み直したい。