内容説明
人を斬る、その残酷な所作の美しさとは。映画の草創期から現代に至るまで、無数の観客が銀幕の上で繰り広げられるチャンバラ(殺陣)に酔いしれた。時代劇映画における殺陣の歴史から身体運用、そして日本文化研究の新たな展開へと広がる壮大な試み。
目次
第1章 「殺陣」とは(殺陣という言葉;映画に先行する殺陣 ほか)
第2章 殺陣の歴史的展開―殺陣史(草創期―一八九七年‐尾上松之助時代;展開期―一九二〇年代、三〇年代を中心に ほか)
第3章 武術の現実と映画的「リアリズム」(「殺陣」のリアリズム;黒澤時代劇の影響 ほか)
第4章 「殺陣」分析の試み―三つの作品を素材として(『決闘高田の馬場』の殺陣にみる文化史的考察;映画『雄呂血』比較 ほか)
第5章 殺陣の現在(製作現場からみた「殺陣」;映画に求められた殺陣とは ほか)
著者等紹介
小川順子[オガワナオコ]
1970年、兵庫県尼崎市生まれ。神戸女学院大学大学院修士課程修了。総合研究大学院大学博士後期課程修了。博士(学術)。現在、中部大学人文学部コミュニケーション学科講師。専門は映画・大衆文化を中心とした日本文化研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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読む前に想像していたものとは違ったが、面白かった。アメリカの80'sスラッシャー映画の戯画的なゴア描写に影響を与えたのが「子連れ狼 三途の川の乳母車」であり、つまり製作者である勝新はスプラッターの始祖、というのがこの本にも引用されている映画秘宝史観。しかし「三途の川」を撮った三隅研次も参加していた「眠狂四郎」「座頭市」シリーズが既に、作品本数を重ねる段階でゴア化しているのである。それは同時代に公開されていたヤコペッティの残酷映画、そしてこれは本の中では言及されていないがマカロニウェスタンによる影響である。2014/08/06