内容説明
現在の西洋世界は中世に形づくられた。古代ギリシアを継承して独自の発展を遂げた中世哲学は近世へと受け継がれたが、その豊かな可能性はいまだ十分には解明されていない。変貌しつつある研究の最前線から、中世思想に新たな光を照射する。付=年表/人名小事典/用語集。
目次
1 神と人間(創造の思想;愛の思想―キリスト教倫理学の基礎;キリスト教哲学)
2 心と記号(記号論・意味論;心の哲学;行為の哲学)
3 認識と存在(真理と判断;抽象と直知―オッカムの直知理論;存在のアナロギア)
4 超越と実存(超越と認識―古代から中世へ;超越と神秘―ギリシア教父に見る;実存と愛―ドゥンス・スコトゥスにおける自由の可能性)
5 自然と宇宙(プラトンの系譜;アリストテレスの系譜)
著者等紹介
中川純男[ナカガワスミオ]
1948年。京都大学大学院文学研究科博士課程。慶応義塾大学文学部教授
加藤雅人[カトウマサト]
1955年。京都大学大学院文学研究科博士課程。京都大学博士(文学)。関西大学総合情報学部教授
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感想・レビュー
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ユーディット
5
現代社会における哲学や思想の意味はなんなのか考えさせられる。翻訳が読みにくいのはわかるが、日本人研究者の文章なのにこの読みにくさ。哲学全般の勉強が終わった人を対象にしているのだろうけど、それにしても文章の整合性に疑問を持った。哲学、神学といったものを簡単にわかろうとする態度は間違っているが、中途半端な気がする。日本人でないリーゼンフーバー神父の著書の方がよく伝わった。2016/07/18
呑芙庵
3
概論的なものを期待すると挫かれる。ものにより良し悪しがあり2018/07/19
工藤 杳
1
砂を噛むような議論…世界とは、記号とは、意欲するとは、善とは、存在するとは、、のような突き詰め方、なににドライブされているのだろうか…と考えた時に、それはおそらく、内外の敵を論破するための論理であって、息苦しさを感じてしまうのも事実。2017/06/04
mob
0
実利や政治的意図があれば納得しやすい現代人にとって、最も理解しやすい神学者はローマ皇帝を手玉に取ったアンブロシウスだとよくわかった。以降は信仰のための神学で、議論のための議論のようなものが多い。イスラム帰りの哲学に対してもなお警戒心が強く、道は険しかったようだ。2020/09/02