内容説明
昭和前期(移動・動員の時代)の作家たちの「南方」「南洋」への関わりとその文学的営為を、ジャワに基軸をおいて論じる。そしてアジア太平洋戦争の敗戦以降、彼らの「南方」体験・言説がいかなる意味と位置づけとをもって我々の前に立ち現われたのか…。
目次
1 “南洋行”の時代(高見順“南洋行”序説―心はちぢに乱れて;高見順「ある晴れた日に」論―バリ島体験の意味 ほか)
2 “徴用”の時代(阿部知二の“徴用”体験―「死の花」の背景;高見順の“徴用”体験―「私はビルマを愛してゐる」 ほか)
3 “南方”への関わり(近代作家のアジア・東南アジア認識について;消えた「虹」―佐藤春夫の“南方”体験と関東大震災 ほか)
4 “外地”への目(“ジャワ”の陣中新聞―『赤道報』『うなばら』;「大東亜共栄圏」と文学者たち ほか)
5 研究の現在(阿部知二の問題意識―「人の発見」;「旅人」の誕生まで―森本穫『阿部知二―原郷への旅―』 ほか)
著者等紹介
木村一信[キムラカズアキ]
1946年、福岡市に生まれる。関西学院大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。熊本県立大学などを経て、1990年より立命館大学文学部に勤務。2000年4月から2004年3月まで、立命館アジア太平洋大学に出向。現在、立命館大学文学部教授
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