内容説明
リージェンシー(摂政時代)のダンディの世界から、ディケンズ時代の煙突小僧の世界にいたるまで、十九世紀ロンドンのあらゆる種類・身分の人びとの生活の場に踏み込んで、そのありのままの生活風景や心情を多くの挿絵を援用しながら活写する。
目次
1 リージェンシー・ロンドンの光と影(トムとジェリーのロンドン・アドヴェンチャー―ピアス・イーガン『ロンドンの生活』;ダンディズムからクリノリンの時代へ;ダンディと毒薬―トマス・グリフィスス・ウェインライト像の変遷 ほか)
2 逆境を越えて(セルフ・ヘルプの系譜;オーストラリア移民―その現実から文学の世界へ;お針子の生と死―『シャツの歌』から『ルース』へ ほか)
3 子ども世界の明暗(ディケンズとジョン・リーチ―作家と挿絵画家の親和力;煙突小僧の現実とロマンス;ロンドン塔のエドワード王子たち―ドラローシュの絵画とそのインパクト ほか)
著者等紹介
松村昌家[マツムラマサイエ]
1929年奈良県に生まれる。1953年大阪外国語大学英語学科卒業。1957年大阪市立大学大学院文学研究科修士課程修了。現在、大手前大学人文科学部教授
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感想・レビュー
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timeturner
1
ヴィクトリア朝だけでなくリージェンシーをちゃんと視野に入れていることに加え、ダンディ、オーストラリア移民、お針子、セルフ・ヘルプといったテーマをディケンズやギャスケルの視点から見せてくれるという、学術書なのに心躍る本。2014/10/15
ozapin
0
セルフヘルプが西国立志論の原書で、スコットランドのサムエルズの著作であることを初めて知った。やっぱりこの位の時代からお金が余裕がある中産階級が生まれてきて自己実現という概念が出てくるのだなあと妙に納得した。スコットランドが今、しきりに独立したがっているのも、この辺に根源的なメンタリティが―あるのだろう。2014/09/14