内容説明
シェイクスピアの生涯と作品を俯瞰した上、最近の研究成果を踏まえて、『ヴェニスの商人』や『オセロー』など問題作7点を多角的な視点から取り上げ、その核心に迫りつつ新たなシェイクスピア的ヴィジョンの構築を図る。
目次
1 時間と空間と創造(シェイクスピアの生涯と作品;シェイクスピア・ドラマの思想―ルネサンス思潮のコンテクストから考える;エリザベス朝演劇の技法と約束事 ほか)
2 中心と周縁―愛・宗教・逆説(『ヴェニスの商人』;『オセロー』)
3 外面と内面―国家・個人・懐疑・伝統(『リチャード二世』;『ハムレット』;『トロイラスとクレシダ』)
4 “はじめ”と“おわり”―存在・認識・不安(『間違いの喜劇』;『あらし』)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
viola
4
とっくに読んでいたと思っていたのに、読んでいなかったので今更ながらの読了。『~を学ぶために』というタイトルではなく、一論文集としての出版であれば、かなりレベルの高いものだと思います。一部、超有名な人なのにあまりにも適当なものもありましたが、流石著名な先生揃い。シェイクスピアでレポートや卒論を書こうかと迷っている段階の人がターゲットだろうに、単なる論文の集まりっていうのが勿体ない。具体的にどのように研究するのか、難易度高いのだから原書はどのように読むのか、どんな本があるのかをコメントを付けるなりすべきでは?2011/12/05
ヴェルナーの日記
2
26人の論陣が主にシェークスピアの作品『ヴェニスの商人』『オセロー』『リチャード二世』等々を論じている。1人が数ページと限られた文章の中で、深く掘り下げて論ずることは難しいらしく、著者によって出来不出来があるは、仕方がないところだろうか…… 。しかし、中にはよく出来たものもあって、『オセロー』における結婚観とか、『リチャード二世』における国王観、『ハムレット』の女の嘆きなど、興味深いものもある。蓋し、シェークスピアを学ぶものなら、一読して損はないだろう。2011/06/13