内容説明
日常性の根底に開く無の深淵宗教的体験の意味を問う。宗教体験を、文化という日常的なものの虚無性の体験の根底に開く「無の深淵」として捉える立場から、宗教の本質、その意味と働きを解き明かす。
目次
第1章 宗教性
第2章 宗教作用の諸連関
第3章 知と信
第4章 聖なるものの現象
第5章 文化と自然あるいはトーテミズム
第6章 呪術的思考と日常性
感想・レビュー
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うえ
6
「斎藤茂吉「わたくしは自己をいとほしまねばならぬ。自己の<いのちのあらはれ>なる短歌はこの意味に於ていとほしいのである。されば作歌の際は飽くまでこのいのちをいとしみ…その表現に際して厳かでなければならぬ」生命の立場を徹底していけば、芸術を越えてどうしても宗教というところに至らざるをえない。逆にいえば、宗教が形骸化し硬直化して、生き生きとした生命の働きを欠くなら、それはもはや宗教とはいえない。ブルーノやスピノザは自然を、「生む自然」と「生まれた自然」に分けて、生まれた自然の根底にある生む自然を神とみなした」2020/09/05