内容説明
甲子園「神話」を解剖する。文化社会学的な視点から高校野球を縦横に読み解き、「閉ざされた空間」から「開かれた空間」への可能性をさぐる。
目次
序論 高校野球の社会学
1 グランド編(劇場としての甲子園―高校生らしさの現実;甲子園と奇蹟;甲子園とジェンダー)
2 スタンド編(物的文化装置としての甲子園スタジアム;マニュアル教育としての甲子園)
3 場外編(甲子園野球のテレビ中継―プロ野球中継視聴者との比較;甲子園と「日本人」の再生産;甲子園と郷土アイデンティティ)
4 海外編(ハイスクール・スポーツ・イン・USA―誰のために、何のためにあるのか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
10
高校野球という文化の中に潜む、社会的イデオロギーや祝祭空間のダイナミズムを社会学的視点で解き明かす論文集。理想の高校球児という規範を求めて観客と選手が演じる儀礼空間としての甲子園、高校野球史の中のジェンダーなど、その内容の多くはほとんどの人が潜在的には「知ってた」というほど見慣れた風景だが、しっかり方法論を整えて読むと、なんとも高校野球、夏の甲子園大会というものが、イデオロギーとしての「日本人」の再生産に都合がいいように編成されているのをより深く再認識できる。日米野球文化の比較はなかなか興味深い一編だった2018/05/14
子音はC 母音はA
1
高校野球の選手、スタンドで応援する人、さらには高校野球の意味を人々に意識付けるメディアの役割等を社会学的視点から各執筆者が捉える。これを読むと素直に高校野球を観れなくなる。高校野球一つでここまで日本社会の病理に迫ってしまう恐ろしさ。2014/07/02
katashin86
0
初版1994年から20年経って、競技としての高校野球はかなり変質した。一方で、高校野球への社会のまなざし・位置づけは依然変わらないように思われる。2017/08/13
chhisa
0
つまり一種の祝祭。宗教。非日常。大体予想通りの内容。2014/08/18