内容説明
社会状況の変化を見据えつつ、人生を生きる糧としてのノスタルジアと社会に対するその影響を解明する新視点。
目次
第1章 ノスタルジアの体験―ことばと意味
第2章 ノスタルジアとアイデンティティ
第3章 ノスタルジアとライフ・サイクル
第4章 ノスタルジアと芸術
第5章 ノスタルジアと社会
第6章 現代のノスタルジア
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
8
原著は1979年。タイトル通り、ノスタルジアを社会的現象として捉えようとする試み。昔は良かった、今は・・・的な言葉が引用として羅列されると迫力がある。アメリカが分析の主軸になっている。1973年公開『アメリカン・グラフィティ』の宣伝文句が「1962年のこと、覚えていますか?」なの、集団的にノスタルジーを感じるには間隔が短すぎると思ったが、「60年代が終わった」って感覚がそれだけ大きかったってことなんだろうか。2021/09/10
ミツ
4
かつて文学あるいは心理学の領域として扱われていたノスタルジアという現象を社会学的に捉え直すことを意図した著作。 ノスタルジアの言葉の意味の確認に始まり、青年期、老年期を中心としたアイデンティティに対して果たす役割を論じた後、ノスタルジアと芸術、メディアの関係に触れ、現代社会におけるノスタルジアの実相を描き出す。 原文が難解なようで訳者もかなり苦労したようだが、何にせよ読みにくい。 論自体も70年代アメリカ辺りを想定しており、一般性はあまりない。2010/03/12
small_akuto
0
僕はノスタルジアが嫌いだった。過去の思い出に浸って、現在を停滞させるみたいな。でも、この本を読むと、それはノスタルジアの問題ではなく、変化の激しい人生や社会の問題だと思った。それはノスタルジアが社会不安や現在の社会問題と無関係ではいられないから。 読みながら常に思い出してたのはクレヨンしんちゃんの映画「嵐を呼ぶ!モーレツ大人帝国の逆襲」 あれがなぜ大人帝国の襲来ではなく、逆襲なのか? 大人帝国の逆襲とはノスタルジアで包み込むことで抑え込んでいた社会不安の逆襲なのではないか。 そんなことを考えました2023/10/19