内容説明
働く婦人の増加と男女平等の意識から、いま、夫婦の氏が問われている。本書は、氏と戸籍面の女性史という視点から、古代から現代に至る通史として論考するとともに、諸外国との比較をも試みるものである。
目次
序 いま、なぜ“氏と戸籍の女性史”が必要か
1部 日本の古代から現代までの氏と戸籍の女性史(古代籍帳にみられる夫婦の姓;古代籍帳等にみられる女性の地位;現存平安時代の籍帳における女性の扱われ方と夫婦の氏;中世の土地台帳・譲状・売券にみられる女性名;近世における戸籍史料にみられる「家」制度と女性;明治民法施行前における妻の氏;明治民法施行前の戸籍における女性の地位;明治民法施行前および施行後の「戸籍」;現行法戸籍と戸籍に対する意識;現行民法における「氏」とその意識)
2部 比較法の視点からみた夫婦の氏(世界の法体系;ロマン法圏;ドイツ法圏;英米法圏;北欧法圏;社会主義法圏;極東法圏;その他の法圏;婚姻時の婚氏制度;離婚と婚氏制度)
感想・レビュー
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ディベートのために。女性の地位はこんなにも変化していたのだと知って驚き。今こうだから正しいのだとは言えないのだと、それがよく分かる。今は酷い制度だと思っていても、その時はそれが普通で、酷い制度だと思うはずもなく。そのような社会で暮らしていればそう思うのも当たり前なのかと思えば、自分が今当たり前に思っていることは、実は間違っていることかもしれないし、将来笑われていることかもしれない。だからこそ、よく言われるけれど、知識を蓄えて、他のところと比較して、自分で考えていかなければならない。2013/10/08
oritako
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実際には女性が為した仕事も、男性の名前で出していた中世。さまざまな記録に名前を残せなかった女性。奈良時代から現代に至るまでの長い経緯を知ることができる。やっと通読した。2018/12/05