目次
『夜光』(全篇)(雪靴;葡萄紅葉 ほか)
『海雨』(全篇)(遊就館にて;ごはんつぶ ほか)
『青蝉』百首+初期歌篇(『青蝉』百首;星の密度(歌集未収録初期歌篇))
歌論・エッセイ(言葉が“なまなましさ”を帯びるとき;「実感」と「思想」 ほか)
著者等紹介
吉川宏志[ヨシカワヒロシ]
1969年1月15日、宮崎県東郷町(現・日向市)生まれ。三歳より宮崎市で育つ。宮崎県立大宮高校に在学中、国語教師だった歌人の志垣澄幸に短歌を紹介される。1987年、京都大学文学部に入学。永田和宏、河野裕子と出会い、活動休止になっていた「京大短歌」の再結成に関わる。同年、「塔」短歌会に入会。後に結婚する前田康子と出会う。1994年「妊娠・出産をめぐる人間関係の変容」で第12回現代短歌評論賞を受賞。第1歌集『青蝉』(1995年、砂子屋書房)にて、第40回現代歌人協会賞を受賞。第2歌集『夜光』(2000年、砂子屋書房)にて、第9回ながらみ現代短歌賞。第3歌集『海雨』(2005年、砂子屋書房)にて、第11回寺山修司短歌賞、第7回山本健吉文学賞。「塔」主宰。京都新聞歌壇選者。『鳥の見しもの』(2016年、本阿弥書店)で、宮崎県が主催する若山牧水賞を、県出身者として初めて受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あや
20
読んだことのある歌集と読んだことのない歌集が収録され、懐かしい気持ちと新鮮な気持ちで読む。相聞もご家族を詠んだ作品も社会詠も良い。2025/01/21
のりたま
2
京大周辺のあの感じを知っている人にしみじみとわかる部分があると思った。「横顔はもう片方の横顔を隠して雪の街を過ぎゆく」「石畳濡れてつづけり戦争をうたわぬために紅葉はありき」『青蝉』百首に好きな歌が多い。「カレンダーの隅24/31分母の日に逢う約束がある」「噴水は挫折のかたち 夕空に打ち返されて円く落ちくる」「円形の和紙に貼りつく赤きひれ掬われしのち金魚は濡れる」118頁の「死ねども」は「死ぬれども」(ナ変「死ぬ」已然形+接続助詞「ども」)ではないだろうか。2024/09/10
浦和みかん
2
作者の初期歌集を読んだのは何年か前のことだったので誤解していたけど、文語できっちり作るというよりも、口語が入り混じったわざと崩した文体なんだよなあ。あと、吉川さんの発見の歌はリアリズムではないところのものを見る目であるということ。大辻さんの解説は作者についての展望がきいていてよかった。2018/03/21