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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
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#木下こう #短歌 春泥をあなたが踏むとあなたから遠くの水があふれだします はなびらの踏まれてあればすきとほり昼ふる雨の柩と思ふよ サンダルの釦をとめる指先のちひさき響き海に行きたし エスパドリューつめたい波に濡らしゆくちからまかせに引き寄せられて 湖にゆくバスにあなたは眠りをり腕の時計の音きくやうに 木々の影いくたび揺れてむらさきの針を水面に垂らしてゐたり <返歌> 海からの柩はなびらちりばめて夕焼け空に朝顔の種2016/08/13
しなの
8
入手できなくて、図書館で借りて読んだ。こんなに自分にしっくり添う歌にはじめて出会ったと思った。もうわたしが言葉をひねくりまわして短歌をつくる必要ないのでは???と自問する日がつづいた。だってこんなにわたしに寄り添ってくれる素敵な歌集が存在してるのだもの。だんだん自分が透きとおって居なくなるような感覚がした。歌会で師匠から、わたしが持つ特徴をさりげなくだけど指摘されて、わたしはわたしの歌を今まで通りたのしくやっていこうと思えて楽になった。わたしには大切な一冊。再版されるそうなので絶対買う。2019/04/20
はち
6
いただきもの(とても複雑な理由のいただきもの)です。というわけで1年くらい放置していた。3部構成になっており、個人的に好みの歌は序盤に集まっている。美しい文体で叙情に優れた歌の数々。油絵というよりは水彩画というべきだろう。爆発的な人気になる歌ではないが、確かに歌を愛する人には深くまで届くだろう。2016/06/01
二藍
2
私家版のほう。2020/06/27
yumicomachi
2
2014年刊行の第一歌集。生きることの豊かな淋しさがやわらかな筆致で詠まれた短歌が多いと感じた。〈春の夜にでかけてゆけばみつけさう羽根の尖つたやさしきものを〉〈わたくしであることの疲労 コンビニに入るとき赤い傘をたたみぬ〉2018/04/17