内容説明
中国東晋の大詩人は懐かしい故郷の自然に帰る歓びを歌った。帰るべき故郷を失った俗世の歌人は、日常の時間に濡れそぼちながら、そこに去来する哀楽の味わいを噛みしめるように歌う。作者、彫心の第七歌集。
目次
夜が来る
くれなゐの実
断念のごとく
わが忽として
ぬるき潮だまり
柱時計
おぼろの坂
花街の母
初老の人
しづくする音〔ほか〕
感想・レビュー
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kaizen@名古屋de朝活読書会
34
#島田修三 #東海のうたびと #短歌 珈琲のぬるきを飲みほし立つときを中庭にあふれ連翹(れんぎょう)の明かり 欄干より見おろすみずの曚(くら)きところ馬頭のやうなる塊(くわい)見えて消ゆ にぎり飯の海苔薫れるを啖(く)らふなり春の光のしぶきに濡れつつ 俺はここにゐるぢやないかと独りごち愉快のまにまに珈琲来たる つばくろの姿に游べる飛び魚の消えて干潟のやうなり駅前 初夏の川はだしに越えし思ひ出も痩せて書斎に屈託はてなし 2016/07/22
浦和みかん
1
老いのダサさを繕うことなく詠っていると感じた。<色川武大なる人物(ひと)いまひとつ摑めず長きオマージュ読みつつ>固有名詞が分からない歌を読む気持ちはこの歌通りだ(笑。2017/04/13